ここから本文です

ニュースリリース

2017年10月31日

抗がん剤レンバチニブ 中国において肝細胞がんに係る適応による新薬承認申請が受理

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の抗がん剤レンバチニブメシル酸塩(一般名、製品名:「レンビマ®」「Kisplyx®」、以下 レンバチニブ)について、中国 国家食品薬品監督管理総局に肝細胞がんに係る適応での新薬承認申請を行い、受理されたことをお知らせします。

 本申請は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんの患者様を対象とした、レンバチニブと標準治療薬であるソラフェニブとの有効性および安全性を比較する多施設共同、非盲検、無作為化グローバル臨床第III相試験(REFLECT試験/304試験)の結果に基づいています1
 レンバチニブは、本試験においてソラフェニブに対し、全生存期間(Overall Survival:OS)について統計学的な非劣性を証明し、主要評価項目を達成しました。また、副次評価項目である無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)、無増悪期間(Time To Progression:TTP)、および奏効率(Objective Response Rate:ORR)について、本剤はソラフェニブに対して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。本試験のレンバチニブ投与群で高頻度に確認された有害事象(上位5つ)は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、疲労であり、これまでに認められた安全性プロファイルと同様でした。

 肝がんはがん関連死亡原因の第2位であり、世界で年間約75万人が肝がんのために亡くなっています。また、年間新規患者数78万人のうち、約80%がアジア地域に集中しており、特に中国においては、年間新規患者数約39万5千人、年間死亡者数約38万人と、全世界の約50%を占めています2。肝細胞がんは、肝がん全体の約85~90%を占めており、切除不能な肝細胞がんは、治療方法が限られた極めて難治性の疾患であり、新しい治療法が期待されています。

 当社は、レンバチニブの肝細胞がんに係る適応について、日本(2017年6月)、米国、欧州(同年7月)において承認申請中です。

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。当社は、レンバチニブによるがん治療の可能性を引き続き追求し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上


<参考資料>

1.  レンバチニブメシル酸塩(一般名、以下 レンバチニブ、製品名:「レンビマ」「Kisplyx」)について

 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、本剤は、「レンビマ」の製品名で甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州など50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州など40カ国以上で、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx」の製品名で発売しています。
 さらに本剤については、腎細胞がん(一次治療)を対象とした、エベロリムスあるいはペムブロリズマブとの2つの併用療法に関して、臨床第III相試験進行中です。また、ペムブロリズマブとの併用による固形がん(子宮内膜がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、メラノーマ)を対象とした臨床第Ib/II相試験および肝細胞がんを対象とした臨床第Ib相試験が進行中です。また、日本において、ニボルマブとの併用による肝細胞がんを対象とした臨床第Ib相試験を開始しました。

2.  REFLECT試験(304試験)について1

 REFLECT試験は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんの患者様954人を対象とした、レンバチニブとソラフェニブとの有効性および安全性を比較する多施設共同、非盲検、無作為化グローバル臨床第III相試験です。本試験には、954人の患者様が各投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられ、レンバチニブ群(478人)では、体重によって1日1回12mg(60㎏以上)または8mg(60㎏未満)が投与され、ソラフェニブ群(476人)では1回400mgを1日2回投与されました。投与は病勢進行あるいは忍容できない有害事象の発現まで継続されました。
 本試験は、主要評価項目をOSとし、非劣性の検証を目的に実施しました。また、副次評価項目として、PFS、TTP、ORR、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)などを評価しました。主要評価項目であるOSは、レンバチニブ群で13.6カ月(中央値)であり、ソラフェニブ群の12.3カ月(同)に比較して、統計学的に非劣性が証明され(ハザード比0.92(95%信頼区間:CI = 0.79-1.06))、レンバチニブは主要評価項目を達成しました。副次評価項目において、PFS(中央値)は、レンバチニブ群で7.4カ月、ソラフェニブ群で3.7カ月でした(ハザード比0.66(95%CI = 0.57-0.77)、P<0.00001)。また、TTP(中央値)は、レンバチニブ群で8.9カ月、ソラフェニブ群で3.7カ月(ハザード比0.63(95%CI = 0.53-0.73)、P<0.00001)、ORRは、レンバチニブ群で24%、ソラフェニブ群で9%(P<0.00001)でした。これら3つの評価項目について、レンバチニブ群はソラフェニブに対してそれぞれ2倍以上にするなど、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。
 また、EORTC QLQ-C30 と QLQ-HCC18 の質問票を用いた全般的なQOLの評価では、レンバチニブ群とソラフェニブ群の両群で薬剤の投与とともにスコアの低下が認められました。EORTC QLQ-C30 の3項目(役割活動性、痛み、下痢)、QLQ-HCC18 の2項目(栄養、身体像)において、レンバチニブ群はソラフェニブ群と比較して、QOLの悪化を遅延することがわかりました(名目P値<0.01)。
 本試験のレンバチニブ投与群で高頻度に確認された有害事象(上位5つ)は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、疲労であり、これまでに認められた安全性プロファイルと同様でした。

1 Cheng Aら、“全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおけるソラフェニブを対照としたレンバチニブの臨床第III相試験”、第53回米国臨床腫瘍学会年次総会(2017年6月)、抄録番号4001
2 GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012. http://globocan.iarc.fr/