プロトンポンプ阻害剤「パリエット®錠5mg、錠10mg」日本でプロトンポンプ阻害剤抵抗性の逆流性食道炎に対する維持療法の用法・用量追加の承認を取得

エーザイ株式会社
EAファーマ株式会社

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤 晴夫、以下 エーザイ)とエーザイの消化器事業子会社であるEAファーマ株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:松江 裕二、以下 EAファーマ)は、本日、エーザイが、日本において、プロトンポンプ阻害剤「パリエット®錠5mg、錠10mg」(一般名:ラベプラゾールナトリウム)について、プロトンポンプ阻害剤抵抗性逆流性食道炎(プロトンポンプ阻害剤の1日1回投与による従来の治療で効果不十分な逆流性食道炎)に対する維持療法に関して、ラベプラゾールナトリウムとして1回10mg 1日2回投与の用法・用量追加の承認を取得したことをお知らせします。日本において「パリエット」は、エーザイが製造販売元であり、EAファーマが販売を行っています。

逆流性食道炎は、胃酸の逆流などによって食道粘膜にびらんが生じ、胸やけ、のどの違和感、ゲップなどの症状が頻繁に続き、再発・再燃を繰り返す疾患であり、日本における有病率は約10%と言われています1。多くの逆流性食道炎は、プロトンポンプ阻害剤の1日1回投与による8週間までの初期治療およびその後の維持療法で治癒・寛解維持が可能ですが、約15%の逆流性食道炎患者様は、現在の治療方法では十分な効果が得られないとの報告があります2。「パリエット」は、このようなプロトンポンプ阻害剤抵抗性の逆流性食道炎患者様に対して1回10mgまたは20mgの1日2回投与による治療が可能な唯一のプロトンポンプ阻害剤ですが、8週間の投与期間の制限があり、その後は10mgの1日1回投与による維持療法が行われていました。今回の承認により、「パリエット」は、維持療法においてもプロトンポンプ阻害剤として唯一となる1回10mgの1日2回投与が可能となり、さらなるアンメットメディカルニーズの充足が期待されます。

今回の用法・用量追加の承認は、日本で実施した、従来の用法・用量におけるプロトンポンプ阻害剤による治療で効果不十分な逆流性食道炎の患者様を対象に、「パリエット」の1回10mg 1日1回投与を対照として、1回10mg 1日2回投与した際の有効性および安全性を検討した二重盲検比較臨床第Ⅲ相試験に基づくものです。本試験の結果、主要評価項目である維持療法期52週時の内視鏡検査による非再発率は、1回10mg 1日2回投与群で73.9%、1回10mg 1日1回投与群では44.8%であり、1日2回投与群は、1日1回投与群と比較して統計学的に有意に優れた再発抑制効果を示しました(P<0.001)。また、本試験において確認された副作用(発現件数が2件以上)は、下痢、血圧上昇、血中甲状腺刺激ホルモン増加であり、これまでに報告されている「パリエット」の副作用と同様の安全性プロファイルでした。

エーザイおよびEAファーマは、長期収載品において患者様のベネフィットにつながる新たな有用性を追求することは、先発医薬品を有する研究開発型製薬企業の使命であると考えています。今回の承認取得により、プロトンポンプ阻害剤で効果不十分な逆流性食道炎の患者様の治療に対する選択肢を更に広げることで、今後も酸関連疾患の患者様の治療に、より一層の貢献をしてまいります。

以上

本件に関する報道関係のお問い合わせ先

<参考資料>

1.「パリエット」について

エーザイ株式会社が創製した「パリエット」は、プロトンポンプ阻害剤として、1997年に日本で発売され、現在、世界100カ国以上で承認されています。日本では、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、非びらん性胃食道逆流症、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の適応を有し、5mg錠、10mg錠および20mg錠を取り揃えています。また、従来のプロトンポンプ阻害剤の治療で効果不十分な逆流性食道炎に対して、ラベプラゾールナトリウムとして1回10mgまたは20mgの1日2回投与の用法・用量の追加が2010年12月に承認されています。

2.今回の承認内容について(下線部が追加部分)

  • 1)

    製品

    パリエット®錠5mg、パリエット®錠10mg

  • 2)

    用法・用量(逆流性食道炎の項のみ抜粋)

    *逆流性食道炎の項を<治療>と<維持療法>に分けて記載

    <治療>
    逆流性食道炎の治療においては、通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回10mgを1日1回経口投与するが、病状により1回20mgを1日1回経口投与することができる。なお、通常、8週間までの投与とする。また、プロトンポンプインヒビターによる治療で効果不十分な場合、1回10mg又は1回20mgを1日2回、さらに8週間経口投与することができる。ただし、1回20mg 1日2回投与は重度の粘膜傷害を有する場合に限る。
    <維持療法>
    再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回10mgを1日1回経口投与する。また、プロトンポンプインヒビターによる治療で効果不十分な逆流性食道炎の維持療法においては、1回10mgを1日2回経口投与することができる。

3.逆流食道炎における「パリエット」の使用について

逆流食道炎における使用イメージ

4.エーザイについて

エーザイ株式会社は、本社を日本に置く研究開発型グローバル製薬企業です。患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「がん」「神経領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

エーザイ株式会社の詳細情報は、www.eisai.co.jp別ウィンドウで開きますをご覧ください。

5.EAファーマについて

エーザイ株式会社の消化器事業子会社であるEAファーマ株式会社は、エーザイグループが60年以上取り組んでいる消化器事業と、アミノ酸をコアとする味の素グループの消化器事業が、2016年4月に統合して設立された、研究開発、生産物流、営業・マーケティングのフルバリューチェーンを有する消化器のスペシャリティ・ファーマです。

EAファーマ株式会社の詳細情報は、http://www.eapharma.co.jp/をご覧ください。

  • 1
    日本消化器病学会 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2015(改訂第2版)
  • 2
    Chiba N., et al, Speed of healing and symptom relief in grade Ⅱ to Ⅳ gastroesophageal reflux disease: a meta-analysis, Gastroenterology. 1997;112(6):1798-810.