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ニュースリリース

2017年9月11日

「レンビマ®」(レンバチニブ)腎細胞がんを対象とした抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用療法に関する臨床第Ib/II相試験結果を欧州臨床腫瘍学会年次総会にて口頭発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製のマルチキナーゼ阻害剤レンバチニブメシル酸塩(製品名:「レンビマ®」「Kisplyx®」、以下 レンバチニブ)とMerck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:「キイトルーダ®」)との併用療法による固形がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(111試験)のうち、腎細胞がんコホートに関する結果について、スペイン・マドリードで開催されている「欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology Congress)年次総会:ESMO2017 Congress」において口頭発表1しましたのでお知らせします。本併用療法の開発は、両社提携のもとで実施しています。

 今回の発表では、2017年3月1日時点の臨床第Ib相パートと第II相パートを合わせた、転移性腎細胞がんの患者様30人を解析対象としました。本解析(主治医判定)の結果、第II相パートの主要評価項目である治療後24週間時点の奏効率*(ORRWeek24)は63%であり、93%(n = 28)の患者様において治療開始時(ベースライン)からの腫瘍径の縮小が認められました。腫瘍縮小効果は治療歴の有無にかかわらず認められました(下表)。

主要評価項目30人の全体解析治療歴なし(n = 12)治療歴あり(n = 18)
ORRWeek24(主治医判定) 63%(n = 19) 83%(n = 10) 50%(n = 9)
95%信頼区間 44-80 52-98 26-74

 さらに、腫瘍縮小効果はPD-L1発現の有無にかかわらず認められました。本併用療法において高頻度に観察された有害事象(上位6つ)は、下痢、疲労、甲状腺機能低下症、口内炎、高血圧、悪心でした。

 腎がんの罹患者数は、2012年において世界で約33万8千人、欧州では約11万5千人、米国では約5万8千人、日本では約1万7千人と推定されています2。腎細胞がんは、腎臓におけるがんの90%以上を占めており3、尿細管の細胞ががん化したものです。罹患率は50歳代後半以降に増加し、また女性より男性に多く発症するといわれています。手術が難しい進行性や転移性の腎細胞がんでは、分子標的薬による治療が標準ですが、5年生存率は低く、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患の一つです。

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。当社は、腎細胞がんに関する本併用療法のより早期の承認申請をめざしてエビデンスの創出に邁進し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

* 奏効率:治療の実施後に腫瘍が消滅した「完全奏効」または腫瘍の大きさの和が30%以上縮小した「部分奏効」の合計の割合です。

キイトルーダ®は Merck & Co., Inc. Kenilworth, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme Corpの登録商標です。

以上


<参考資料>

1.  レンバチニブメシル酸塩(商品名:レンビマ/Kisplyx、以下 レンバチニブ)について

 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、本剤は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州など50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州など35カ国以上で、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx」の製品名で発売しています。
 さらに本剤は、肝細胞がんに係る適応について、標準治療薬であるソラフェニブと有効性と安全性を比較するグローバル臨床第III相試験(304)試験において、全生存期間について、ソラフェニブに対する統計学的な非劣性を証明し、主要評価項目を達成しました。日本(2017年6月)、米国、欧州(同年7月)において承認申請を行ったのに続き、中国においては2017年度下期に承認申請を行う予定です。
 なお、本剤については、腎細胞がん(一次治療)を対象とした、エベロリムスあるいはペムブロリズマブとの併用療法に関して、臨床第III相試験(307試験)が進行中です。

2.  111試験について

 米国で実施されている111試験は、レンバチニブとペムブロリズマブ併用療法の有効性と安全性を評価する多施設共同、非盲検の臨床第Ib/II相試験です。臨床第Ib相パートでは、最大耐性量の決定を主要目的とし、標準治療後に進行した、または適切な治療法がない固形がん(非小細胞肺がん、腎細胞がん、子宮内膜がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、メラノーマ)の患者様を対象に、レンバチニブは24mg/日(3人)または20mg/日(10人)の用量を経口投与し、ペムブロリズマブは3週ごと200mgを静脈内投与しました。臨床第II相パートでは、化学療法による2レジメン以下の前治療歴のある固形がんの患者様を対象に、臨床第Ib相パートの結果、推奨用量に決定したレンバチニブは20mg/日、ペムブロリズマブは3週ごと200mgを投与しました。主要評価項目として投与24週時点の奏効率、副次評価項目として奏効率、病勢コントロール率、無増悪生存期間、奏効期間などが評価されます。現在、本試験は臨床第II相パートが進行中であり、特に子宮内膜がんコホートへの症例登録を拡大しています。日本においては同様の臨床第Ib相試験(115試験)と肝細胞がんを対象とした併用療法に関する臨床第Ib相試験(116試験)が進行中です。

3.  レンバチニブと抗PD-1抗体併用療法の作用機序研究について

 マウス由来の肝がん、メラノーマまたは大腸がん細胞株を移植したマウス同種移植モデルを用いた非臨床試験において、レンバチニブと抗マウスPD-1抗体併用投与時の相乗的な抗腫瘍活性が確認されています4。これには、レンバチニブによる免疫抑制性の腫瘍関連マクロファージの減少およびがん細胞を攻撃する細胞傷害性Tリンパ細胞の数の増加による免疫賦活化の作用が関与していると考えられています。

1 Lee CH, et al. A Phase 1b/2 Trial of Lenvatinib + Pembrolizumab in Patients With Renal Cell Carcinoma. ESMO Congress Abstract, 2017; #847O
2 GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012. http://globocan.iarc.fr/
3 Eble J.N, et al. Pathology and Genetics of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs, World Health Organisation classification of tumours. (International Agency for Research on Cancer, Lyon, France in 2004)
4 Kato Y, et al. Upregulation of memory T cell population and enhancement of Th1 response by lenvatinib potentiate anti-tumor activity of PD-1 signaling blockade: Lenvatineb and PD-1 mAb combination. AACR Meeting Abstract, 2017; #4614