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ニュースリリース

2017年9月6日

「レンビマ®」(レンバチニブ)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法による子宮内膜がんに対する良好な中間解析データに基づく症例数拡大について Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USAと調印

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製のマルチキナーゼ阻害剤レンバチニブメシル酸塩(製品名:「レンビマ®」 「Kisplyx®」 、以下 レンバチニブ)とMerck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:「キイトルーダ®」)との併用療法に関する臨床第Ib/II相試験において、子宮内膜がんの目標症例登録数を拡大することについてMerck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USAと調印したことをお知らせします。

 今回の目標症例登録数の拡大は、現在両社提携のもと実施しているレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法に関する複数の固形がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(111試験)の子宮内膜がんコホートの良好な中間解析の結果に基づくものです。本中間解析(n=23)1において、レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法による奏効率*(24週時点)は、独立画像判定では52.2%(95%信頼区間:CI = 30.6–73.2)、主治医判定では47.8%(95%CI = 26.8–69.4)でした。また、本併用療法では、マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability:MSI)の状態に関わらず腫瘍の縮小が観察されました。なお、本併用療法において高頻度に観察された有害事象(上位5つ)は、高血圧、疲労、関節痛、下痢、悪心でした。本中間解析結果に基づき、本試験について、子宮内膜がんの目標症例数を約100症例まで拡大することとし、すでに症例登録が進んでいます。

 子宮内膜がんは、世界で6番目に多い婦人科のがんで、2012年には32万人が新たに診断されています2。米国では、2017年には約6万人が新たに子宮内膜がんと診断され、約1万人が亡くなられると推計されています3。二次治療として承認された薬剤はなく、子宮内膜がんは依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾病です。

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。当社は子宮内膜がんのようなアンメット・メディカル・ニーズの高いがんへの新規治療法の創出に邁進し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。


*奏効率とは、治療の実施後に腫瘍が消滅した「完全奏効」または腫瘍の大きさの和が30%以上縮小した「部分奏効」の合計の割合です。

キイトルーダ®は Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme Corpの登録商標です。


以上


<参考資料>

1.  レンバチニブメシル酸塩(一般名、以下 レンバチニブ、商品名:レンビマ/Kisplyx)について

 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、本剤は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州など50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州など35カ国以上で、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx」の製品名で発売しています。
 さらに本剤は、肝細胞がんに係る適応について、標準治療薬であるソラフェニブと有効性と安全性を比較するグローバル臨床第III相試験(304)試験において、全生存期間について、ソラフェニブに対する統計学的な非劣性を証明し、主要評価項目を達成しました。日本(2017年6月)、米国、欧州(同年7月)において承認申請を行ったのに続き、中国においては2017年度下期に承認申請する予定です。

2.  レンバチニブとペムブロリズマブの併用の臨床第Ib/II相試験(111試験)について

 米国で実施されている111試験は、レンバチニブとペムブロリズマブ併用療法の有効性と安全性を評価する多施設共同、非盲検の臨床第Ib/II試験です。臨床第Ib相パートでは、最大耐性量の決定を主要目的とし、標準治療後に進行した、または適切な治療法がない固形がん(非小細胞肺がん、腎細胞がん、子宮内膜がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、メラノーマ)の患者様を対象に、レンバチニブは24mg/日(3人)または20mg/日(10人)の用量を経口投与し、ペムブロリズマブは3週ごと200mgを静脈内投与しました。臨床第II相パートでは、化学療法による2レジメン以下の前治療歴のある固形がんの患者様を対象に、臨床第Ib相パートの結果、推奨用量に決定したレンバチニブは20mg/日、ペムブロリズマブは3週ごと200mgを投与しました。主要評価項目として奏効率、副次評価項目として臨床的有用率、病勢コントロール率、無増悪生存期間、奏効期間などが評価されます。現在、本試験は米国において臨床第II相パートが進行中です。日本においては同様の臨床第Ib相試験(115試験)と肝細胞がんを対象とした併用療法に関する臨床第Ib相試験(116試験)が進行中です。

3.  レンバチニブと抗PD-1抗体併用療法の作用機序研究について4

 マウス由来の肝がん、メラノーマまたは大腸がん細胞株を移植したマウス同種移植モデルを用いた非臨床試験において、レンバチニブと抗マウスPD-1抗体併用投与時の相乗的な抗腫瘍活性には、レンバチニブによる腫瘍関連マクロファージの減少に基づくがん免疫賦活化、およびメモリーT細胞の増強が関与していることが示唆されています。

4.  マイクロサテライト不安定性について

 DNA複製の際に生じる塩基配列の間違い(ミスマッチ)を修復する機能に異常があると、傷ついた遺伝子により細胞ががん化することがあります。短い塩基配列が繰り返すマイクロサテライトと呼ばれる部分はミスマッチが起こりやすく、反復回数に違いが生じます。このマイクロサテライトのミスマッチ修復機構の機能異常を、マイクロサテライト不安定性(MSI)といいます。抗PD-1抗体は、MSIを高頻度に認める患者様により効きやすく、それ以外の患者様には効きにくいとされています5

1 Makker V, et al. A phase Ib/II trial of lenvatinib (LEN) plus pembrolizumab (Pembro) in patients (Pts) with endometrial carcinoma. ASCO Meeting Abstract, 2017; #5598
2 World Cancer Research Found International: http://www.wcrf.org/
3 National Cancer Institute、Cancer Stat Facts: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/corp.html
4 Kato Y, et al. Upregulation of memory T cell population and enhancement of Th1 response by lenvatinib potentiate anti-tumor activity of PD-1 signaling blockade : Lenvatineb and PD-1 mAb combination. AACR Meeting Abstract, 2017; #4614
5 Dung T. Le. et al, PD-1 Blockade in Tumors with Mismatch-Repair Deficiency, The New England Journal of Medicine 372:2509-2520, 2015.