肥満症治療剤lorcaserinの心血管疾患アウトカム試験の安全性に関する中間解析において独立データモニタリング委員会より試験継続の推奨を受領

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、米国などで実施中の肥満症治療剤lorcaserin hydrochloride(一般名、米国製品名:「BELVIQ®」、以下 lorcaserin)の心血管疾患アウトカム試験(CVOT: Cardiovascular Outcomes Trial、CAMELLIA-TIMI61試験)について、事前に規定された安全性に関する中間解析の結果、独立データモニタリング委員会より試験継続の推奨を受領しましたのでお知らせします。本中間解析では、主要心血管イベント(MACE: Major Adverse Cardiovascular Events、心血管死、心筋梗塞、脳卒中)の発生について評価されました。本推奨を受けて、当社は本試験を計画通り続行します。本試験のトップライン結果の取得は2018年度を予定しています。

本試験は、米国食品医薬品局(FDA)の要件に基づく12,000名の患者様を対象とした、lorcaserinの投与(5年間)による心血管系に関する長期的な安全性を評価する臨床第Ⅲb/IV相試験です。また、本試験はTIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)Study Groupとの提携のもとで実施しています。

本剤は、米国において、Body Mass Index(BMI)が30kg/m²以上、あるいは少なくとも1つ以上の体重に関連する合併症(高血圧、脂質異常症、2型糖尿病など)を有するBMIが27kg/m²以上の成人患者様の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法として、2013年6月より「BELVIQ」の製品名で販売しています。

当社は、「BELVIQ」を通じて、引き続き、肥満症の内科的治療分野におけるさらなるアンメット・メディカル・ニーズの充足と、患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1. Lorcaserin hydrochloride(一般名、米国製品名「BELVIQ」、1日1回製剤米国製品名「BELVIQ XR」)について

LorcaserinはArena Pharmaceuticals, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:Amit D. Munshi、以下 アリーナ社)創製の新規化合物であり、選択的に脳内のセロトニン2C受容体を刺激することにより摂食を抑制し、満腹感を促進すると考えられています。本剤は、米国において、Body Mass Index(BMI)が30kg/m²以上、あるいは少なくとも1つ以上の体重に関連する合併症を有するBMIが27kg/m²以上の成人患者様の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法として、2012年6月に米国食品医薬品局(FDA)より承認され、米国麻薬取締局によるスケジューリング指定を経て、2013年6月に「BELVIQ」の製品名で発売されました。また、韓国においは、2015年から代理店より販売されています。2016年7月にメキシコにおいて、12月にはブラジルにおいて、米国と同様、肥満症に係る適応の承認を取得しています。

さらに、2016年7月には、米国において、1日2回投与の「BELVIQ」錠剤に対して、患者様の服薬利便性の向上をめざして1日1回投与が可能となるよう設計された徐放性製剤「BELVIQ XR」の承認を取得しました。

加えて、当社は、2017年1月にアリーナ社より、「BELVIQ」の開発および販売に関するすべての権利を取得しました。

本剤の複数の臨床第Ⅲ相試験における主な有害事象は、糖尿病を合併しない肥満症では、頭痛、めまい、疲労、嘔吐、口内乾燥、便秘であり、糖尿病を有する肥満症では、低血糖症、頭痛、背部痛、咳嗽、疲労でした。米国における本剤の重要な安全性情報(ISI)を含む詳細はBELVIQウェブサイトをご参照ください。http://www.belviq.com(英語のみ)

2. 心血管疾患アウトカム試験(CVOT: Cardiovascular Outcomes Trial、CAMELLIA-TIMI61試験)について

米国などで実施中のCAMELLIA(Cardiovascular And Metabolic Effects of Lorcaserin In Overweight And Obese Patients)-TIMI61試験は、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、臨床第Ⅲb/IV相試験であり、肥満症治療剤に関して最も規模の大きい試験です。本試験の主要目的は、主要心血管イベント(MACE: Major Adverse Cardiovascular Events、心血管死、心筋梗塞、脳卒中)による安全性の評価です。主要目的を達成した場合、主要有効性評価として、MACEに、入院を要する不安定狭心症もしくは心不全、または冠血行再建術を加えたMACE+の評価を行います。また、副次評価として、2型糖尿病を有する患者様における血糖コントロールおよび糖尿病発症前から2型糖尿病への移行の遅延または防止の可能性を評価する予定です。

3. TIMI Study Groupについて

TIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)Study Groupは、30年以上にわたり心血管系の臨床試験をリードしてきた米国ニューイングランド州のBrigham and Women's Hospital(BWH)に拠点を置く学術研究機関です。