嗅覚識別テスト「UPSIT series」を日本において新発売

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、本日より、日本において、嗅覚識別テスト「UPSIT series」(アップシットシリーズ)を、保険薬局や自治体などに向けて販売することをお知らせします。本テストは、Sensonics International(本社:米国ニュージャージ州、CEO:Richard L. Doty)が開発し、当社が日本における独占的販売権を獲得し、日本市場向けの改良を行ってきました。

「UPSIT series」の「ポケット嗅覚識別テスト」(The 4-Item Pocket Smell Test)は、マイクロカプセル化した4種類のにおい成分を台紙に塗布した嗅覚識別テストです。におい成分を塗布した箇所を綿棒などで軽くこすると、におい成分が揮発します。該当するにおいの名称を4つの選択肢から選ぶことで、嗅覚識別力を3分程度で確認することができます。

嗅覚は、食品腐敗や衛生環境、ガス漏れ、火災の検知など日々の生活の安全に関わる重要な感覚の一つです。嗅覚には、何のにおいか嗅ぎ分ける(識別)力と、においが薄くても気付く(閾値)力があり、年齢や体調、記憶、心理的状態によってその力が変動します。嗅覚識別力の変化には、自覚症状が乏しいといわれています。同テストの使用により、においを嗅ぎ分ける力の変化を客観的に確認することで、体調や心理的状況の変化に気づくきっかけとなります。

本テストは、自治体や保険薬局での健康相談ならびに健康増進イベントなどで、対面実施することを想定しています。回答に誤りがあった場合、薬剤師などの指導に基づく睡眠や運動、食事、喫煙などの日常生活の見直しや、耳鼻咽喉科医やかかりつけの医師への相談を推奨しています。なお、同テストは、医師などの医療関係者による診察および診断に代わるものではありません。

におい成分は複数の化学物質で構成されており、鼻腔の天井部分にある約500万個の嗅細胞はそれぞれ特定の化学物質に反応し、においの情報として脳に伝達されます。各嗅細胞からの情報と、脳に記憶された情報とが統合され、「特定のにおい」として認識されます。

当社は、hhcソリューション事業の一環として、高齢者も「安心して暮せるまちづくり」をめざした活動に長年取り組んでおり、その中で、様々な実臨床現場におけるニーズや課題、いわゆるクリニカルクエスチョンを見出してきました。これらのクリニカルクエスチョンに対するソリューションを自治体や医療機関、薬局などと連携して提供し、高齢者の健康増進や健康管理の支援に、より一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1. 嗅覚識別テスト「UPSIT series」(アップシットシリーズ)について

「UPSIT series」の「ポケット嗅覚識別テスト」(The 4-Item Pocket Smell Test)は、マイクロカプセル化した4種類のにおい成分を台紙に塗布した嗅覚識別テストです。におい成分を塗布した箇所を綿棒などで軽くこすると、におい成分が揮発します。該当するにおいの名称を4つの選択肢から選ぶことで、嗅覚識別力を3分程度で確認することができます。

なお、当テストは、医薬品(診断薬)や医療機器ではなく、医師などの医療関係者による診察および診断に代わるものではありません。

「UPSIT series」は、ペンシルバニア大学耳鼻咽喉科内に設置されたThe Smell and Tast Centerのセンター長であるRichard L. Doty教授が開発したテストであり、同氏が1982年に設立したSensonics, Inc.(現Sensonics International)より、Smell Identification Test™の名称で世界中で販売されています。におい成分の数や種類によって、複数の製品が開発されています。

Front image
シリーズ名: 「UPSIT series」
(呼称:アップシットシリーズ)
販売名: 「ポケット嗅覚識別テスト」
(The 4-Item Pocket Smell Test)
Version A、Version B
サイズ: 縦8.9cm、横10.8cm(二つ折り時)
パッケージ: 10枚入り・50枚入り
価格: 10,000円/10枚入り、
49,000円/50枚入り
URL:
におい付着面の図(イメージ)
におい付着面の図(イメージ)

クールなにおい(ミント系など)、甘いにおい(ストロベリー系など)や不快なにおい(ガス臭など)などのタイプが異なるにおいをバランスよく配置しており、多様なにおいを嗅ぎ分ける力を確認することができます。「ポケット嗅覚識別テスト」として、4種類のにおい成分を使用したテストを2バージョン発売しました。

2. Sensonics Internationalについて

Sensonics Internationalは、米国ニュージャージー州ハードン・ハイツに本社を置き、1982年に設立された、嗅覚ならびに味覚に関するテストを製造販売する世界で最も大きな会社です。様々な嗅覚と味覚テストの販売に加えて、食品や香料業界向けの官能試験トレーニングや製品評価、従業員の嗅覚機能スクリーニング、嗅覚味覚以外の化学感受性に関連するコンサルティングサービスも提供しています。これらのテストは世界で100万人以上の方を対象に実施されており、旗艦商品であるUPSITは30の異なる言語に翻訳されています。

3. においについて

嗅覚には、何のにおいか嗅ぎ分ける(識別)力と、においが薄くても気付く(閾値)力があり、年齢や体調、記憶、心理的状態によってその力が変動します。嗅覚識別力の変化には自覚症状が乏しいため、客観的に確認することが重要とされています。

鼻腔の天井部分には約500万個の嗅細胞があるといわれています。1個の嗅細胞が持つ受容体は1種類で、各受容体に合う構造をもつ化学物質が結合します。におい成分は、複数の化学物質で構成されており、各化学物質が結合したそれぞれの受容体からの情報が、においの情報として脳に伝達されます。脳に記憶された情報と統合され、「特定のにおい」として認識されます。

嗅覚障害は、嗅細胞のある場所ににおい成分が達しないためにおこる呼吸性嗅覚障害と、嗅細胞や嗅神経が障害を受けておこる嗅粘膜性嗅覚障害、これら2つを原因とする混合性嗅覚障害、そして嗅覚中枢やその経路が障害を受けておこる中枢性嗅覚障害に分類されます。

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    「UPSIT」「アップシット」等の名称は商標登録出願済みです。