BACE阻害剤elenbecestat 早期アルツハイマー病を対象とした臨床第Ⅲ相試験について日本における症例登録を開始

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤elenbecestat(開発コード E2609)について、早期アルツハイマー病(AD)を対象としたグローバル臨床第Ⅲ相試験(MISSION AD1)の、日本における症例登録を開始しましたのでお知らせします。

Elenbecestatの臨床第Ⅲ相試験プログラム(MISSION AD)は、同一プロトコルの2つのグローバル臨床試験であるMISSION AD1(301試験)およびMISSION AD2(302試験)から構成されます。MISSION ADは、両試験ともADによる軽度認知障害および軽度認知症の比較的早期段階からなる早期ADかつバイオマーカーでアミロイドβ(Aβ)の脳内蓄積が確認されている患者様1,330人を対象に、elenbecestatの有効性と安全性を検証する、多施設共同、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験です。投与期間を24カ月として、実薬群は50mg/日の1用量とし、Clinical Dementia Rating Sum of Boxes(CDR-SB)を主要評価項目として用います。MISSION AD1は、2016年10月に最初に米国で開始され、症例登録が順調に進んでいます。また、MISSION AD2は、2016年12月に米国で開始しており、日本においても間もなく開始の予定です。また、欧州においては、両試験の臨床試験申請を提出済であり、開始準備中です。

Elenbecestatは、経口のアルツハイマー病治療剤として開発中のBACE阻害剤です。本剤はAβ産生の律速酵素であるBACEを阻害することで、Aβ産生を抑制し、毒性種と考えられる脳内Aβのオリゴマーやプロトフィブリルへの凝集、その後のアミロイドプラーク(老人斑)の形成の減少に繋がると考えられています。当社は、本剤をバイオジェン・インク(本社:米国マサチューセッツ州、CEO:Michel Vounatsos)と共同開発しています。また、本剤の米国での開発については、重篤な疾患に対する新たな治療法やアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性のある薬剤について、米国食品医薬品局(FDA)が優先的に審査するファストトラック指定を受けています。

MISSION ADプログラムにおける日本のアドバイザリーボードのメンバーである順天堂大学医学部の新井平伊教授は、「日本を含む全世界で高齢化の進展に伴い、認知症と軽度認知障害の患者数の大幅な増加が予想されています。MISSION ADの臨床試験を通じて、Aβ産生抑制をめざす日本発のBACE阻害剤の開発が進み、早期ADに罹患された方々のために貢献できるようになることを期待しています」と述べています。

  • 現時点で最終確定したものではありません。

以上

<参考資料>

1. エーザイとバイオジェンによる共同開発契約について

本契約は、両社がBACE阻害剤elenbecestatと抗Aβプロトフィブリル抗体BAN2401について、エーザイ主導のもとでグローバルでの承認取得に向けた開発を進め、承認取得後は日米欧などの主要な地域において共同販促を行うものです。両社はelenbecestatとBAN2401に係る研究開発費等の費用を折半し、共同販促に基づく売上高はエーザイに計上され、利益は両社で等しく分配します。また、エーザイは、バイオジェンより契約一時金を取得したほか、今後共同開発の進捗、承認取得および売上高達成に応じたマイルストンペイメントを受け取ります。また、エーザイは、バイオジェンがAD治療剤として開発している抗Aβ抗体「aducanumab」および抗tau抗体に対して、共同開発および共同販促に係わるオプション権を保有しています。