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ニュースリリース

2017年3月28日

ドイツ連邦合同委員会(G-BA)が進行性腎細胞がんにおける抗がん剤「Kisplyx®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)の追加有用性を支持

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、ドイツ連邦合同委員会(G-BA)の保険償還に向けた評価において、進行性腎細胞がんに対する自社創製の抗がん剤「Kisplyx®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)とエベロリムスの併用療法が、既存のエベロリムス単剤療法と比較して、追加有用性を有していると確認されたことをお知らせします。確認された追加有用性に基づき、疾病金庫中央連合会との交渉による合意を経て、償還価格が決定される予定です。

 G-BAによる評価は、血管内皮増殖因子を標的とした前治療歴を有する、切除不能な進行または転移性腎細胞がんの患者様を対象とした、「Kisplyx」とエベロリムスの併用投与の有効性と安全性を評価した臨床第II相試験(205試験)の結果1に基づくものです。本試験の結果、「Kisplyx」/エベロリムス併用投与群は、エベロリムス単剤投与群と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(progression-free survival)を有意に延長しました。さらに、併用投与群における全生存期間(overall survival)の中央値は、エベロリムス単剤投与群と比較して延長されました2
 なお、併用投与群で高頻度に認められた有害事象は、下痢、食欲減退、疲労であり、グレード3以上(有害事象共通用語規準)の高頻度に認められた有害事象は、下痢、高血圧、疲労でした。

 腎がんの罹患者数は、2012年において欧州では約11万5千人と推定されています3。腎細胞がんは、腎臓におけるがんの90%以上を占めており4、尿細管の細胞ががん化したものです。罹患率は50歳代後半以降に増加し、また女性より男性に多く発症するとされています。手術が難しい進行性や転移性の腎細胞がんでは、分子標的薬による治療が標準ですが、5年生存率が低く、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾病です。

 レンバチニブメシル酸塩は、欧州で希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている甲状腺がんに係る適応においては、「レンビマ®」の製品名で販売しています。

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。当社は「Kisplyx」のアクセス拡大や本剤の製品価値最大化を通じて、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1.  用語解説
1) ドイツ連邦合同委員会(G-BA)
 医師、歯科医師、病院および疾病金庫からなる独立したドイツにおける医療制度の最高意思決定機関であり、医薬品をはじめとする医療サービスに関する保険償還などについての決定権を有しています。
2) G-BAによる追加有用性評価について
 2011年1月に施行された医薬品市場再編法(AMNOG)により、ドイツで発売された全ての新薬はG-BAによる追加有用性評価を受けることが義務付けられ、この評価に基づく価格交渉を経て、原則、発売後1年以内に償還価格が決定されることになりました。
 新製品上市に際して、製薬企業は比較治療薬に対する追加的な有用性を示すデータ(benefit dossier)を提出する必要があります。G-BAからの委託を受けたドイツ医療サービス評価研究所(IQWiG)は、製薬企業が提出した資料をもとに比較治療薬に対する追加有用性の有無とそのレベルを評価します。IQWiGの評価に対して製薬企業にはコメントの機会が与えられ、G-BAが当該薬剤に対する有用性評価を最終判断します。
 G‐BAによる追加有用性が認められた場合には、疾病金庫中央連合会(GKV-SV)との価格交渉段階に進み、G-BAによって設定された有用性レベルに基づき償還価格が決定されます。一方、追加有用性が認められないもしくは証明されていないと判断された薬剤には、原則参照価格が適用され、ジェネリック等の最も安価な既存の治療薬と同レベルの価格に設定されます。

2.  レンバチニブメシル酸塩(製品名:レンビマ、Kisplyx、以下 レンバチニブ)について

 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、レンバチニブは、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、韓国、メキシコ、ブラジルなど50カ国以上で承認を取得しました。米国では「局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん」の適応で、日本では「根治切除不能な甲状腺癌」の適応で、欧州では「成人での放射性ヨウ素治療抵抗性の進行性又は転移性の分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、ヒュルトレ細胞がん)」の適応で承認を取得しています。
 レンバチニブは、2016年5月に、米国で「血管新生阻害薬の前治療歴を有する進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応拡大について承認を取得しました。また、2016年8月に、欧州において「血管内皮増殖因子を標的とした薬剤の前治療歴を有する成人での進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応について承認を取得しました。
 レンバチニブは、欧州での甲状腺がん(オーファンドラッグ指定)に係る適応においては「レンビマ」の製品名で販売しています。欧州(EU)における規制により、オーファンドラッグに指定された適応症とその他の適応症は別製品名で販売することが義務付けられているため、オーファンドラッグ指定ではない腎細胞がんに係る適応においては「Kisplyx」の製品名で発売しています。
 なお、本剤について、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんに係るグローバルでの申請を準備中です。また、ペムブロリズマブまたはエベロリムスとの併用による腎細胞がん(一次治療)の臨床第III相試験、胆道がん(臨床第II相試験)、複数のがん種を対象としたペムブロリズマブとの併用療法(臨床第Ib/II相試験)など、複数の臨床試験が進行中です。

3.  臨床第II相試験(205試験)について1

 205試験は、血管内皮増殖因子を標的とした前治療歴を有する、切除不能な進行または転移性腎細胞がんの患者様を対象とした、レンバチニブ(18mg)/エベロリムス(5mg)併用投与、レンバチニブ単剤(24mg)投与、エベロリムス単剤(10mg)投与の3群の有効性と安全性を比較する、多施設共同、無作為化、非盲検の臨床第II相試験として欧米で実施され、153人の患者様が各群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられました。
 レンバチニブ/エベロリムス併用投与群は、エベロリムス単剤投与群に比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(progression-free survival: PFS)を有意に延長しました(併用投与群14.6カ月vsエベロリムス単剤群5.5カ月(中央値)、ハザード比0.40(95%信頼区間=0.24-0.68)、p=0.0005)。また、レンバチニブ単剤投与群のPFS中央値は7.4カ月であり、エベロリムス単剤投与群に対する延長を示しました(ハザード比0.61(95%信頼区間=0.38-0.98))。
 副次評価項目として奏効率(objective response rate: ORR)、全生存期間(overall survival: OS)などが評価されました。併用投与群およびレンバチニブ単剤投与群は、エベロリムス単剤投与群と比較して、より高いORRを示しました(併用投与群(43%)、レンバチニブ単剤投与群(27%)、エベロリムス単剤投与群(6%))。また、OSに関しては、2014年12月時点におけるアップデート解析で、併用投与群におけるエベロリムス単剤投与群に対する延長が示唆されました(ハザード比0.51(95%信頼区間=0.30-0.88))。
 さらに、アップデート解析において、OSの中央値は、併用投与群で25.5カ月、エベロリムス単剤投与群で15.4カ月でした(ハザード比0.59(95%信頼区間=0.36-0.97))。2
 本試験の併用投与群において、高頻度に認められた有害事象は、併用投与群では、下痢、食欲減退、疲労であり、グレード3以上(有害事象共通用語規準)の高頻度に認められた有害事象は、下痢、高血圧、疲労でした。


1 Robert Motzer, et al, “Lenvatinib, everolimus, and the combination in patients with metastatic renal cell carcinoma: a randomised, phase 2, open-label, multicentre trial.” The Lancet Oncology, 2015; 16, 1473-1482
2 Kisplyx Summary of Product Characteristics (SmPC), September 2016.
3 GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012. http://globocan.iarc.fr/
4 Eble J.N, et al. Pathology and Genetics of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs, World Health Organisation classification of tumours. (International Agency for Research on Cancer, Lyon, France in 2004)