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ニュースリリース

2017年1月25日

抗がん剤「レンビマ®」が全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんを対象とした臨床第III相試験において主要評価項目を達成

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の抗がん剤「レンビマ®」(一般名: レンバチニブメシル酸塩、以下 レンバチニブ)について、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおけるソラフェニブを対照とした臨床第III相試験(304試験)において、主要評価項目を達成したことをお知らせします。

 304試験は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん患者様を対象に、レンバチニブについて、標準治療薬であるソラフェニブとの有効性および安全性を比較する多施設共同、非盲検、無作為化グローバル臨床第III相試験です。本試験には、954人の患者様が各投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられ、レンバチニブ投与群(478人)では、体重によって1日1回12mgまたは8mgが投与され、ソラフェニブ投与群(476人)では1回400mgを1日2回投与されました。投与は病勢進行あるいは忍容できない有害事象の発現まで継続されました。
 本試験は、主要評価項目を全生存期間(Overall Survival:OS)とし、非劣性の検証を目的に実施しました。また、副次評価項目として、無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)、無増悪期間(Time to Progression:TTP)、奏効率(Objective Response Rate:ORR)などを評価しました。

 本試験の結果、レンバチニブ投与群は、ソラフェニブ投与群に比較して、OSにおける非劣性が統計学的に証明され、PFS、TTP、ORRにおいて、統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善を示しました。本試験のレンバチニブ投与群で確認された有害事象(上位5つ)は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、疲労であり、これまでにレンバチニブの投与で認められた安全性プロファイルと同様でした。なお、その他の副次評価項目(QOL、血漿中薬物動態)や安全性の解析は継続中です。

 当社は、本試験結果に基づき、日本、米国、欧州、中国を含むアジアの各当局と申請に向けた協議を行う予定です。また、本試験結果の詳細について、今後の学会等で発表する予定です。

 肝がんはがん関連死亡原因の第2位であり、世界で年間約70万人以上が肝がんのために亡くなっています1。特に中国をはじめとするアジア、アフリカにおいて発生頻度が高い疾患です。肝細胞がんは、原発性肝がん全体の約85∼90%を占めています。早期段階の肝細胞がんの治療法には外科手術、ラジオ波焼灼法、エタノール注入療法、化学塞栓療法など、多くの治療選択肢がありますが、切除不能な肝細胞がんの場合は、治療薬が限られており、予後が極めて悪くアンメット・メディカル・ニーズが高い疾患です。

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。当社は、引き続きレンバチニブを患者様価値増大に結びつけるべくエビデンスの創出に邁進し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1.  レンバチニブメシル酸塩(製品名:レンビマ、以下 レンバチニブ)について

 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、レンバチニブは、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、韓国、メキシコ、ブラジルなど50カ国以上で承認を取得し、加えて、南アフリカ、インドネシアなどで申請中です。米国では「局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん」の適応で、日本では「根治切除不能な甲状腺癌」の適応で、欧州では「成人での放射性ヨウ素治療抵抗性の進行性又は転移性の分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、ヒュルトレ細胞がん)」の適応で承認を取得しています。
 レンバチニブは、2016年5月に、米国で「血管新生阻害薬の前治療歴を有する進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応拡大について承認を取得しました。また、2016年8月に、欧州において「血管内皮増殖因子を標的とした薬剤の前治療歴を有する成人での進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応について承認を取得しました。欧州での本適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。
 本剤について、本試験のほか、胆道がん(臨床第II相試験)、複数のがん種を対象としたペムブロリズマブとの併用療法(臨床第Ib/II相試験)など複数の臨床試験が進行中です。さらに、ペムブロリズマブまたはエベロリムスとの併用による腎細胞がん(一次治療)の臨床第III相試験も開始しました。

2.  肝細胞がんについて

 肝がんはがん関連死亡原因の第2位であり、世界で毎年約80万人が新たに肝がんと診断され、約70万人の死亡が報告されています1。地域差も大きく、中国をはじめとするアジア、アフリカで発生頻度が高いことが知られています。肝細胞がんは、肝がんにおいて最も発生頻度が高く、原発性肝がん全体の約85∼90%を占めています。肝細胞がんは慢性肝疾患、特に肝硬変と関連しており、発生原因として、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスが挙げられますが、最近の調査では非B型非C型肝細胞がんの増加が報告されています。肝細胞がんの第一治療選択は外科手術ですが、根治切除後の再発や診断時にはすでに進行性で転移が見られるため手術に適さない場合も多くあります。全身療法として承認されている薬剤は、ソラフェニブのみで、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患の一つです。

1 GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012. http://globocan.iarc.fr/