ここから本文です

ニュースリリース

2016年6月3日

エーザイ・インクが米国において進行性腎細胞がんに対する抗がん剤「レンビマ®」とエベロリムスの併用療法に関する共同販促契約を締結

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、米国子会社であるエーザイ・インクが、Novartis AG(本社:スイス バーゼル市、CEO:Joseph Jimenez)の米国子会社であるNovartis Pharmaceuticals Corporation(以下ノバルティス社)と、進行性腎細胞がんに対する自社創製の抗がん剤「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)と抗がん剤エベロリムス(一般名)の併用療法に関する、米国内での共同販促ならびに医療従事者に対する科学的エビデンスの提供などのメディカル・アフェアーズ活動における連携に関する契約を締結したことをお知らせします。

 「レンビマ」について、エーザイ・インクは、「血管新生阻害薬の前治療歴を有する進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応で、本年5月13日に米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)より適応追加の承認を取得しました。米国で承認された本療法は、根治切除不能または転移性腎細胞がんの二次治療の標準療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した唯一の併用療法です。今後、本契約に基づき、エーザイ・インクとノバルティス社の営業担当者は、米国の医療従事者に対して、「レンビマ」とエベロリムスの併用療法の利用を推進するとともに、両社でメディカル・アフェアーズ活動を展開します。各製品の売上は、それぞれの会社に計上されます。

 腎がんの罹患者数は米国で約5万8千人と推定されており1、腎細胞がんは腎臓におけるがんの90%以上を占めています2。手術が難しい進行または転移性腎細胞がんでは、分子標的薬による治療が標準ですが、5年生存率が低く、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾病です。

 「レンビマ」は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、韓国、カナダなど40カ国以上で承認を取得しています。本剤は、進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法の適応に関して、米国で承認を取得しています。また、欧州では2016年1月に進行または転移性腎細胞がんに係る適応で申請を行っており、日本の当局とも申請に向けての協議を行う予定です。

 当社は、今回の提携を通じ、「レンビマ」の価値最大化を引き続き追求し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1.  「レンビマ」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について
 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、「レンビマ」は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、韓国、カナダなど40カ国以上で承認を取得し、加えて、アジア諸国、ロシア、オーストラリア、ブラジル、メキシコなど世界各国で申請中です。具体的には、米国では「局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん」の適応で、日本では「根治切除不能な甲状腺癌」の適応で、欧州では「成人での放射性ヨウ素治療抵抗性の進行性又は再発の分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、ヒュルトレ細胞がん)」の適応で承認を取得しました。
 「レンビマ」は、2016年5月に、米国で「血管新生阻害薬の前治療歴を有する進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応拡大について承認を取得しました。また、欧州で2016年1月に、進行または転移性腎細胞がんに係る適応に関して新たな申請を行っており、日本の当局とも申請に向けての協議を行う予定です。
 さらに、本剤において、肝細胞がん(臨床第III相試験)や子宮内膜がん(臨床第II相試験)、胆道がん(臨床第II相試験)、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法(臨床第Ib/II相試験)など複数のがんを対象にした臨床試験が進行中です。
 米国における「レンビマ」の重要な安全性情報を含む本剤に関する詳細はウェブサイトをご参照ください。
http://www.lenvima.com

2.  アフィニトール®(一般名:エベロリムス)錠について
 アフィニトール(一般名:エベロリムス)錠は、米国や欧州を含む112カ国で、膵原発の局所進行、転移性または切除不能の進行性非機能性神経内分泌腫瘍(NET)に係る適応で承認されています。本剤は、米国で機能性カルチノイド腫瘍の適応は有していません。現在、本剤は米国FDAより、消化管/肺原発の局所進行、転移性または切除不能の高分化型進行性NETを有する成人患者様の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得しました。
 また、アフィニトールは、米国や欧州を含む120カ国以上で、血管内皮増殖因子(VEGF)標的治療薬による治療中または治療後(米国では、スニチニブおよびソラフェニブによる治療後)に疾患が進行した転移性腎細胞がん治療薬として承認されています。
 加えて、アフィニトールは、米国や欧州を含む110カ国以上で、ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の進行性乳がんにも、内分泌療法を受けた後のエキセメスタン(exemestane)との併用療法として承認されています。
 同剤は、アフィニトールまたはVotubia®、サーティカン®、Zortress®の製品名で、がん以外の領域でも治療薬として承認されており、また薬剤溶出性ステントの用途に関する独占的販売権がアボットに、サブライセンスがボストン・サイエンティフィックに供与されています。
 適応症は国によって異なり、すべての適応症がすべての国で承認されているわけではありません。承認されている適応症以外では、エベロリムスの安全性と有効性のプロファイルは確立されていません。臨床試験の結果は不確実であるため、エベロリムスが世界のどこかの国でさらなる適応症の治療薬として効能追加されるという保証はありません。

アフィニトール(一般名:エベロリムス)錠の重要な安全性情報
 アフィニトール/Votubiaは、死亡の原因となりうる肺・呼吸疾患、敗血症を含む感染症、腎不全など、死亡の可能性のある重篤な副作用を引き起こすことがあります。アンジオテンシン変換酵素阻害剤を併用している患者様では、血管性浮腫のリスクが増大することがあります。よく見られる副作用には、口腔内潰瘍および口内痛があります。同剤は、血球数、腎・肝機能、血糖・コレステロール・トリグリセリド値に影響を及ぼすことがあります。同剤は、妊娠中の女性に重大な害を及ぼすことがあります。同剤を服用中または服用終了後8週間以内で、妊娠の可能性がある女性は、効果の高い方法で避妊することが推奨されます。また、同剤を服用中の女性は授乳を避けてください。同剤の服用によって、男性および女性の妊孕性に影響が出ることが考えられます。
 最もよく見られる副作用(発生率10%以上)は感染(のどの痛み、鼻汁、上気道感染、肺炎、副鼻腔炎および尿路感染を含む)、口腔内潰瘍、発疹、疲労、下痢、発熱、嘔吐、吐き気、せき、食欲減退、赤血球減少、頭痛、味覚異常、無月経、にきび、肺組織の炎症、月経異常、四肢または他の部位の腫脹、血糖値の上昇、脱力感、掻痒感、体重減少、コレステロール値の上昇、鼻出血です。最もよく見られるグレード3~4の副作用(発生率2%以上)は口腔内潰瘍、感染症(肺炎を含む)、赤血球減少、血糖値の上昇、疲労、無月経、下痢、白血球減少、肺組織の炎症、脱力感、発熱、突発的な出血やあざです。B型肝炎ウィルスの再活性化、肺または下肢の血栓、ニューモシスチス・イロベチー肺炎(PJP)が報告されています。血液学的および生化学的な検査値異常も観察されています。

 アフィニトール®、Votubia®、サーティカン®やZortress®は、Novartis AGあるいはその子会社の商標として登録されています。

3.  臨床第II相試験(205試験)について3
 FDAからの「血管新生阻害薬の前治療歴を有する進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法」の適応追加の承認は、205試験の結果に基づくものです。205試験は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)およびその受容体を標的とする薬物による治療歴を有する進行または転移性腎細胞がんの患者様を対象とした、「レンビマ」(18mg)/エベロリムス(5mg)併用投与、「レンビマ」単剤(24mg)投与、エベロリムス単剤(10mg)投与の3群の有効性と安全性を比較する、多施設共同、無作為化、非盲検の臨床第II相試験として欧米で実施され、153人の患者様が各群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられました。
 「レンビマ」/エベロリムス併用投与群は、エベロリムス単剤投与群に比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(progression-free survival: PFS)を有意に延長しました(併用投与群14.6カ月 vs エベロリムス単剤群5.5カ月(中央値)、ハザード比0.40(95%信頼区間 = 0.24-0.68)、p=0.0005)。また、「レンビマ」単剤投与群のPFS中央値は7.4カ月であり、エベロリムス単剤投与群に対する延長を示しました(ハザード比0.61(95%信頼区間 = 0.38-0.98))。副次評価項目として奏効率(objective response rate: ORR)、全生存期間(overall survival: OS)などが評価されました。併用投与群および「レンビマ」単剤投与群は、エベロリムス単剤投与群と比較して、より高いORRを示しました(併用投与群(43%)、「レンビマ」単剤投与群(27%)、エベロリムス単剤投与群(6%))。また、OSに関しては、2014年12月時点におけるアップデート解析で、併用投与群におけるエベロリムス単剤投与群に対する延長が示唆されました(ハザード比0.51(95%信頼区間 = 0.30-0.88))。
 本試験において高頻度に認められた有害事象は、併用投与群では、下痢、食欲減退、疲労であり、グレード3以上(有害事象共通用語規準)の高頻度に認められた有害事象は、下痢、高血圧、疲労でした。

4.  腎細胞がんについて
 腎がんの罹患者数は、2012年において世界で約33万8千人、米国では約5万8千人、欧州では約11万5千人、日本では約1万7千人と推定されています1。腎細胞がんは、腎臓におけるがんの90%以上を占めており2、尿細管の細胞ががん化したものです。罹患率は50歳代後半以降に増加し、また女性より男性に多く発症するとされています。手術が難しい進行性や転移性の腎細胞がんでは、分子標的薬による治療が標準ですが、5年生存率が低く、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾病です。

1 GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012. http://globocan.iarc.fr/
2 Eble J.N, et al. Pathology and Genetics of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs, World Health Organisation classification of tumours. (International Agency for Research on Cancer, Lyon, France in 2004)
3 Motzer, R, et al. “Lenvatinib, everolimus, and the combination in patients with metastatic renal cell carcinoma: a randomised, phase 2, open-label, multicentre trial.” The Lancet Oncology, 2015; 16, 1473-1482.