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ニュースリリース

2016年2月1日

米国HUYA Bioscience Internationalとヒストン脱アセチル化酵素阻害剤「HBI-8000」の日本とアジアにおける独占的な開発および販売に関する契約を締結

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、HUYA Bioscience International, LLC(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ、CEO、社長兼創業者:Dr. Mireille Gillings、以下HUYA社)と、ヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase:HDAC)阻害剤「HBI-8000」について、日本、韓国、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムおよびシンガポールにおける独占的な開発および販売に関する契約を締結したことをお知らせします。

 「HBI-8000」は、中国において末梢性T細胞リンパ腫に係る適応で承認されている経口投与のHDAC阻害剤です。本剤は、非臨床結果からエピジェネティックな作用による腫瘍細胞の増殖抑制効果が示唆されるとともに、免疫調節作用も期待されています。本剤について、日本では非ホジキンリンパ腫を対象とした臨床試験が進行中であり、日本の当局より、非ホジキンリンパ腫の一種である末梢性T細胞リンパ腫の治療に係る希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。米国においては、固形がんを対象とした臨床第I相試験が終了しています。

 本契約に基づき、当社は、契約地域における「HBI-8000」についての独占的な開発販売権を有します。ただし、末梢性T細胞リンパ腫と、同じく非ホジキンリンパ腫の一種である成人T細胞白血病/リンパ腫については、HUYA社が開発を行い、当社は販売を行います。なお、本契約により、当社は、HUYA社に対して、契約一時金、開発および上市後のマイルストン、ロイヤルティを支払います。

 当社は、がん関連領域を重点領域の一つと位置づけており、新規抗がん剤によるがん治療の可能性を引き続き追求し、がん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1.  HUYA Bioscience International, LLCについて
 HUYA Bioscience International, LLC(本社:米国、以下HUYA社)は、中国発の新薬の製品化に向けて、グローバルに開発事業を展開しています。HUYA社は、中国国内のバイオ製薬、学術組織や関連企業との協力体制のもとで、中国発の新薬を世界各国の市場に届けるため、開発促進と製品価値の最大化をめざしています。HUYA社は、あらゆる治療分野を対象とする中国最大の新薬候補化合物ポートフォーリオを有し、中国におけるイノベーションの価値を最大限に引き出すパートナーとして活動しています。米国、日本、韓国に加えて、中国全土の8つの戦略拠点にオフィスを構え、中国最大規模の科学者チームと共に、有望な新薬候補を見出し、そのグローバルな開発を行っています。HUYA社は、健康製品とサービス、医薬品の部門で「Asia-Pacific Stevie® Award」を、Mireille Gillings博士は、2015年の米国ビジネス女性部門で「Gold Stevie Award」を受賞しています。HUYA社についての詳細は、www.huyabio.comをご参照ください。

2.  HBI-8000について
 「HBI-8000」は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC:histone deacetylase)を阻害するベンズアミド系の経口投与剤で、クラスIのHDACでは触媒ポケットに直接結合し、阻害活性を示すようにデザインされています。本剤は、がんに関連するHDAC酵素の活性を低濃度(ナノモルレベル)で阻害し、良好な薬効と安全性を示します。HDACは配列の相同性などによりI~IVの4つのクラスに分類されますが、本剤は、クラスI(HDAC1、2および3)とクラスIIb(HDAC10)をナノモルレベルで阻害し、腫瘍細胞のヒストン(H3およびH4)へのアセチル基の蓄積をもたらします。ヒト由来の腫瘍細胞による実験から、本剤は、エピジェネティックな作用による腫瘍細胞の増殖抑制効果やアポトーシスの誘導、免疫調節による抗腫瘍活性の増加を含む、様々な作用機序を通じて多くの腫瘍細胞株の増殖を抑制すると考えられています。本剤に関し、各種血液がんと固形がんにおいて複数の臨床試験が行われており、米国においては、固形がんを対象とした臨床第I相試験が終了しています。本剤は、中国において末梢性T細胞リンパ腫に係る適応で承認されています。日本では非ホジキンリンパ腫を対象とした臨床第I相試験が進行しており、日本の当局より、非ホジキンリンパ腫の一種である末梢性T細胞リンパ腫の治療に係る希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

3.  HDACについて
 クロマチン構造の変化が関与する遺伝子の転写制御において、ヒストンのリジン残基からのアセチル基の除去によりクロマチン構造が強固になることによる転写活性抑制と、アセチル基の付加によるクロマチン構造の弛緩による転写活性促進が重要な役割を担っています。HDACは、ヒストンのリジン残基からアセチル基を離脱させる酵素であり、HDAC阻害により、ヒストンにアセチル基が蓄積し、クロマチン構造が弛緩することで、がん抑制遺伝子などの転写活性が促進され、腫瘍細胞のアポトーシスや細胞周期停止の誘導により、腫瘍増殖が抑制されると考えられています。

4.  エピジェネティックについて
 エピジェネティックとは、DNA配列の変化を伴わないで遺伝子発現を制御・伝達する仕組みおよびその学術分野のことです。がん細胞にはジェネティックな遺伝子異常に加えて、様々なエピジェネティックな異常が蓄積しているといわれています。