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ニュースリリース

2013年11月8日

Broad Instituteと顧みられない熱帯病および結核の新薬開発に向けて共同研究契約を締結
―シャーガス病の新薬開発プロジェクトがGHIT Fundの助成金交付対象として採択―

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の共同研究施設である Broad Institute(所在地:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)と、顧みられない熱帯病(NTDs)および結核に対する新薬開発に向けた共同研究契約を締結したことを、お知らせします。

 本共同研究契約のもと、両者は、Broad Instituteのライブラリーから同定された化合物の最適化を行い、協力してNTDsおよび結核に対する新薬開発を行うこととなります。最初のプロジェクトとして、NTDsの一つであるシャーガス病を対象疾患とすることを決定しました。シャーガス病はサシガメ(ビンチューカ)の咬傷によって感染する疾患で、特にラテンアメリカやカリブ諸国の貧困地域に多く蔓延しており、約8百万人が感染し、1億人が蔓延地域に暮らしているとされています。ラテンアメリカでは、毎年、約14,000人がシャーガス病により亡くなっており、新薬の開発が強く望まれています。

 また、シャーガス病に関する本プロジェクトは、一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)による助成金交付対象として採択されました。GHIT Fundは、開発途上国等で蔓延する感染症の制圧に向けた日本発の新薬開発を推進する国際的非営利組織です。今後、両者は、GHIT Fundからの助成金も活用して、本共同研究プロジェクトを推進していきます。

 当社は、新興国・開発途上国の人々の健康福祉の向上に貢献し、これらの国々の経済発展や中間所得層の拡大に寄与することは、将来に向けた長期的な投資と位置づけ、NTDsを含む感染症に対する医薬品アクセス問題に継続的に取り組んでいます。新薬の研究開発においては、Drugs for Neglected Diseases initiative (DNDi)やセービンワクチン研究所などの国際的な非営利団体やブラジルの国立研究機関オズワルドクルス財団ともパートナーシップを組み、シャーガス病やリーシュマニア症といったNTDsやマラリアに対する新薬開発を進めています。

 当社は、引き続き新興国・開発途上国における医薬品のアクセス問題に積極的に取り組み、これらの国々の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。

以上

[参考資料として、顧みられない熱帯病、シャーガス病、GHIT Fundについて添付しています]

<参考資料>

1. 顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)について
 世界保健機関(WHO)によると、世界に24億人いるといわれている貧困層のうちの10億人を超える人々がNTDsにより健康を害していると推定されています。NTDsは世界149の国と地域で蔓延しているとされており、このうち、100の国と地域が、2種類以上のNTDsの蔓延地域となっており、さらに30の国と地域では6種類以上のNTDsが蔓延しているとされています。NTDsは貧困により蔓延していく一方、多くの国・地域で貧困の原因ともなっています。(NTDs:ブルーリ潰瘍、シャーガス病、嚢尾虫症、デング熱、ギニア虫感染症、食物媒介吸虫類感染症、肝蛭症、睡眠病、リーシュマニア症、ハンセン病、リンパ系フィラリア症、河盲症、狂犬病、住血吸虫症、土壌伝播寄生虫症、トラコーマ、トレポネーマ感染症)

2. シャーガス病について
 シャーガス病はサシガメ(ビンチューカ)の咬傷によって感染する疾患で、特にラテンアメリカやカリブ諸国の貧困地域における公衆衛生上の問題となっています。約8百万人が感染していると推定され、1億人が蔓延地域に居住しているとされています。また、人口移動などによって、本来非感染地域とされているオーストラリアやカナダ、欧州、日本、米国などにおいても、ここ数年、感染者数が増加しています。
 シャーガス病は、急性期・無症候期・慢性期に分類され、慢性期はさらに慢性無症候期と臓器障害などを伴う慢性期に分類されます。急性期では感染に気づかないこともよくあるものの、症候性急性シャーガス病では、発熱やけん怠感、リンパ節の腫脹などの不特定な症状を呈し、4~6週間ほどで自然に治ります。無症候期には明らかな症状が現れず、慢性期に移行するまで数十年かかることもあります。慢性期では、感染者の10%~30%は中枢神経系、消化器系、循環器系に影響が現れ、末梢神経障害や心筋症、巨大結腸もしくは巨大食道などが認められるようになります。適切な治療を受けないと、感染者の約3分の1が重篤な心疾患もしくは消化器疾患を発症し、場合によっては死に至ることもあります。ラテンアメリカでは、毎年、約14,000人がシャーガス病により亡くなっています。

3. 一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について
 一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、エイズ、結核やマラリア、「顧みられない熱帯病(NTDs)」等の、特に開発途上国で蔓延する感染症の制圧をめざして、日本発の新薬開発を推進している国際的な非営利組織です。GHIT Fundは、日本国政府、製薬企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団による日本初の官民パートナーシップとして設立され、日本と海外の研究機関の連携促進や助成金交付を通して新薬開発を促進しています。GHIT Fundについての詳細は、www.ghitfund.orgをご参照ください。