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ニュースリリース

2012年10月23日

AMPA受容体拮抗剤「Fycompa™」が12歳以上のてんかん患者様の部分発作に対する併用療法として米国FDAより承認を取得

 エーザイ株式会社(本社:東京、社長:内藤晴夫)は、米国子会社であるエーザイ・インクが、AMPA受容体拮抗剤「Fycompa™」(一般名:ペランパネル)について、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法として、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)より承認を取得したと、発表しました。

 本剤は、当社が創製した、非競合AMPA型グルタミン酸受容体拮抗剤であり、シナプス後AMPA受容体のグルタミン酸による活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制することで、てんかん発作を制御する、ファースト・イン・クラスの抗てんかん剤となります。

 今回の承認は、計1,480人の部分てんかん患者様を対象にした、3つの申請用臨床第Ⅲ相試験の結果に基づいています。これらの試験は、いずれもグローバル、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、投与量漸増試験として実施され、二次性全般化発作を含む部分てんかん発作に対する併用療法として、発作頻度を有意に減少させる効果を示しました。なお、本剤の投与による主な有害事象として、浮動性めまい、眠気、疲労、神経過敏、転倒、悪心、運動失調、平衡障害、歩行障害、回転性めまい、および体重増加が報告されています。また、重大、もしくは生命を脅かす精神的な症状が、本剤投与群で対照群に比してより多く報告されており、これらの副作用について添付文書の警告欄に記載されています。

 本剤は、FDAにより米国麻薬取締局(the U.S. Drug Enforcement Administration:DEA)による、規制物質法に基づくスケジュール審査を推奨されており、その審査が完了した後に発売となります。

 米国には約220万人、世界には約5,000万人のてんかん患者様がいるといわれています。当社は、てんかん領域を重点疾患領域のひとつに位置づけ、米国では成人部分てんかん治療剤として「Zonegran®」(創製・ライセンス元:大日本住友製薬)、また小児の早期から発症する重篤なてんかんであるレノックス・ガストー症候群の治療剤として「Banzel®」(同:Novartis社)を販売しています。当社は、てんかん領域において、豊富な製品ラインナップに基づいた複数の治療オプションを提供することで、てんかん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、引き続き貢献してまいります。

以上

[参考資料として、てんかん、「Fycompa」(一般名:ペランパネル)、申請用臨床第Ⅲ相試験、
エーザイのてんかん領域での取り組みについて添付しています]

<参考資料>

1. てんかんについて

 てんかんは、様々な精神機能・身体機能に影響を及ぼす発作が生じる疾患です。ある患者様に2つ以上の非誘発性発作が生じると、てんかんとされています。発作は、一時的に過剰な電気的興奮が起こることによって、生じるものです。てんかん発作には、けいれんや意識消失、そして発作として認識されにくいblank stare(ぼうっと一点を見つめる)、唇鳴らし、手足の痙動など、様々な症状が伴います。
 また、てんかんは年齢を問わずに発症し、一生のある時期に0.5%~2%の人がてんかんを発症するといわれています。てんかんの患者様数は、日本が100万人、欧州(G5)が240万人、米国が220万人、世界中で5,000万人超と報告されています。米国では、部分てんかんが全てんかん患者様の約60%を占め、治療を受けている部分てんかん患者様の25%~30%がてんかん発作をコントロールできていないとの報告もあり、未だアンメット・メディカル・ニーズが高い疾患となっています。

2.「Fycompa」(ペランパネル)について

 「Fycompa」(ペランパネル)は、当社が創製した新規化合物であり、AMPA受容体に対して非競合的な拮抗剤です。本剤は、シナプス後AMPA受容体のグルタミン酸による活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制することで、抗てんかん作用を発揮すると考えられています。本剤は、部分てんかんを対象とした臨床第Ⅱ相および第Ⅲ相試験において、発作抑制効果が示されています。本剤は、1日1回の経口投与の部分てんかん治療剤として、欧州並びに米国で承認を取得、および日本・アジアでは臨床第Ⅲ相試験の段階にあります。さらなる適応の拡大をめざし、全般てんかんについて国際共同治験として臨床第Ⅲ相試験を、部分てんかんの小児患者様を対象に欧米で臨床第Ⅱ相試験を実施しています。

【米国における重要な安全性情報の概要】
  • 精神的症状:本剤は、攻撃的な行為あるいは攻撃性の増幅(殺人企図を含む)、敵意、怒り、不安、神経過敏、不信感、およびその他の行動や気分に異常なあるいは極端な変化があらわれることがある。本剤を服用中にこのような変化が見られた場合には、すみやかに担当医師に連絡をすること。(これらの症状については添付文書の警告欄に記載されている。)
  • 自殺念慮および自殺行為:本剤を含む抗てんかん剤投与により、非常にまれに(約500例に1例)、自殺念慮および自殺行為があらわれることがある。本剤を服用中に、うつ症状の発現や悪化、気分、感覚、行動の異常なあるいは急激な変化、自殺念慮や自殺行為、あるいは自傷念慮の発現や増幅が見られた場合には、すみやかに担当医師に連絡をすること。
  • 浮動性めまい、回転性めまいおよび歩行障害:めまいによるふらつきで歩行障害があらわれることがある。これらの症状は、本剤の用量を増加した際におこる可能性がある。また、これらの症状の発現リスクは高齢者で高くなる可能性がある。
  • 眠気および疲労:本剤投与により、眠気や疲労感があらわれることがある。本剤投与中の患者は、これらの症状の影響が確認できるまで、自動車の運転や重機械の操作やその他の危険な活動をしないこと。また、これらの症状の発現リスクは高齢者で高くなる可能性がある。
  • 転倒:本剤の投与により、転倒およびそれに伴う怪我を生じる可能性がある。また、転倒の発現リスクは高齢者で高くなる可能性がある。
  • 抗てんかん薬の投与中止:医師の指示なく、本剤の服薬を中止しないこと。てんかん患者において、突然の抗てんかん薬の投与中止は、てんかん発作を増加させるなどの重大な問題を起こす可能性がある。
3.申請用臨床第Ⅲ相試験について

 ペランパネルの部分てんかんの申請用試験は3つの臨床第Ⅲ相試験(304、305、および306試験)から成り、計1,480人の青年期を含む12歳以上の部分てんかん患者様が本試験に参加されました。306試験は、最小有効量を把握することを主目的として、「プラセボ、2mg、4mg、8mg」の4群で実施されました。また、304試験と305試験は、投与量範囲の決定を主目的とし、「プラセボ、8mg、12mg」の3群で実施されました。
 いずれの試験も、グローバル、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、用量漸増試験として実施され、「部分発作回数変化率(percentage change in seizure frequency)」、「50%レスポンダーレート(50% responder rate、部分発作回数が観察期間と比べて50%以上改善した症例の割合)」、「複雑部分発作および二次性全般化発作減少率(percentage reduction of complex partial plus secondarily generalized seizures)」、および「用量反応性(evaluation for dose response)」を評価項目としていました。また、欧州医薬品庁(EMA)の主要評価項目には「50%レスポンダーレート」が、米国FDAの主要評価項目には「部分発作回数変化率(中央値)」が設定されました。各試験の全症例を対象とした結果は下記の通りです。

1) 306試験
  • 「50%レスポンダーレート」:プラセボ投与群の17.9%に対し、ペランパネルの2mg投与群で20.6%(p=0.4863)、4mg投与群で28.5%(p=0.0132)、8 mg投与群で34.9%(p=0.0003)
  • 「発作回数変化率(中央値)」:プラセボ投与群の-10.7%に対し、ペランパネルの2mg投与群で-13.6%(p=0.4197)、4mg投与群で-23.3%(p=0.0026)、8 mg投与群で-30.8%(p<0.0001)
  • 「主な有害事象」:めまい、頭痛、眠気
2) 305試験
  • 「50%レスポンダーレート」:プラセボ投与群の14.7%に対し、ペランパネルの8mg投与群で33.3%(p=0.0018)、12mg投与群で33.9%(p=0.0006)
  • 「発作回数変化率(中央値)」:プラセボ投与群の-9.7%に対して、ペランパネルの8mg投与群で-30.5%(p=0.0008)、12mg投与群で-17.6%(p=0.0105)
  • 「主な有害事象」:めまい、疲労、頭痛、眠気
3) 304試験
  • 「50%レスポンダーレート」:プラセボ投与群の26.4%に対し、ペランパネルの8mg投与群で37.6%(p=0.0760)、12mg投与群で36.1%(p=0.0914)
  • 「発作回数変化率(中央値)」:プラセボ投与群の-21.0%に対して、ペランパネルの8mg投与群で-26.3%(p=0.0261)、12mg投与群で-34.5%(p=0.0158)
  • 「主な有害事象」:めまい、眠気、神経過敏、頭痛、転倒、運動失調
4. エーザイのてんかん領域での取り組みについて

 エーザイは、てんかん領域を重点疾患領域のひとつと位置づけ、AMPA受容体拮抗剤「ペランパネル」の開発を進めるだけでなく、既に成人部分てんかん単剤および併用療法として「Zonegran®」(創製・ライセンス元:大日本住友製薬、Na/Caチャネル阻害等に基づく抗てんかん剤:欧州、米国、アジア)、成人部分てんかん併用療法として「Zebinix®」(同:BIAL-Portela&Ca社、電位依存性Naチャネル阻害に基づく抗てんかん剤:欧州)、小児の早期から発症する重篤なてんかんであるレノックス・ガストー症候群の併用療法として「Inovelon®/Banzel®」(同:Novartis社、Naチャネル阻害作用に基づく新規トリアゾール骨格の抗てんかん剤:欧州、アジア/北米)、また、てんかん重積状態などの治療に用いる抗けいれん剤「ホストイン®」(販売提携:ノーベルファーマ、フェニトインの水溶性プロドラッグ:日本)を販売しています。