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ニュースリリース

2012年7月10日

抗がん剤「ハラヴェン®」の局所進行性・転移性乳がんにおける カペシタビンを比較対照とした第Ⅲ相臨床試験(301試験)の速報結果について

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)が創製・開発し発売中の抗がん剤「ハラヴェン®」(一般名:エリブリンメシル酸塩)について、このたび、アントラサイクリンおよびタキサン系抗がん剤が抵抗性または無効となった局所進行性・転移性乳がんに対して、より早期から治療貢献することをめざして実施した、カペシタビンとの比較対照試験(301試験)の速報結果が得られましたので、お知らせします。

 本試験は、アントラサイクリンおよびタキサン系抗がん剤による前治療歴を有する局所再発性・転移性乳がんの患者様1,102名を対象として、多施設共同、無作為化、非盲検による、カペシタビンとの群間比較試験として実施されました。本試験では、事前に設定された層別化因子であるHER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor Type2)のステータスおよび実施地域に応じて、患者様が両群で1:1になるよう無作為化されました。

 本試験の解析速報では、主要評価項目である「全生存期間(Overall Survival: OS)」と「無増悪生存期間(Progression Free Survival: PFS)」について、事前に定義した統計学的有意差の基準を満たさなかったものの、ハラヴェン投与群は、カペシタビン投与群と比較して、全生存期間を延長する傾向を示しました。一方、無増悪生存期間には差がありませんでした。また、安全性については、新たな副作用はなく、承認時に得られた試験結果と同様の結果でした。

 当社は本試験結果に関して、プロトコルで事前に設定された副次評価項目や層別化因子などに基づく詳細な解析を実施し、申請に向けた当局との協議を進めてまいります。

 乳がん治療は、新しい抗がん剤の開発により年々進歩していますが、局所再発性・転移性乳がん治療においては、依然として高いアンメット・メディカル・ニーズが存在しています。現在、ハラヴェン®は、乳がんの適応で日本、米国、欧州、シンガポール等、37カ国で承認を取得しています。また、軟部肉腫および非小細胞肺がんの適応拡大に向けた第Ⅲ相臨床試験が順調に進行しており、2014年度の日米欧同時申請をめざしています。当社は、今後も本剤の製品価値最大化に向けたエビデンスの創出に邁進し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

[参考資料として、ハラヴェン®、301試験デザイン概要、乳がん、エーザイのオンコロジー領域での取り組みについて添付しています]

<参考資料>

1.  「ハラヴェン®」(一般名:エリブリンメシル酸塩)について

 「ハラヴェン®」は、新規の作用機序を有する非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出されたハリコンドリン類の全合成類縁化合物であり、微小管の短縮(脱重合)には影響を与えずに伸長(重合)のみを阻害し、さらにチューブリン単量体を微小管形成に関与しない凝集体に変化させる作用を有しています。
 本剤は、乳がんについて2010年11月に最初の承認を米国で取得し、これまでに欧州、日本、シンガポール、スイス等、37カ国で承認を取得しています。また、301試験に代表される前治療歴の少ない乳がん、また、軟部肉腫、非小細胞肺がんについても単剤での後期臨床試験が進行中です。さらに、より効率的にがん細胞に薬剤を分布させることをめざしたリポソーム製剤も臨床試験の準備中です。

2.  301試験デザイン概要

 本試験は、局所再発性・転移性乳がんの患者様1,102名を対象として、多施設共同、無作為化、非盲検による、カペシタビンとの群間比較試験として実施されました。本試験では、前治療として術前・術後補助療法を含む3種類以下かつ進行性・転移性乳がんに対する治療として2種類以下の治療歴を有すること、加えて、アントラサイクリンやタキサン系抗がん剤による前治療歴を有する患者様を対象としました。また、HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor Type2)受容体を過剰発現している乳がん患者様におけるトラスツズマブの治療歴、並びにエストロゲンおよびプロゲステロン受容体を発現する乳がん患者様へのホルモン療法の治療歴についても確認され、HER2の発現レベル(陽性、陰性および未確認)および実施地域(東欧、北米、中南米、西欧、南アフリカ、アジア)に応じて、患者様が両群で1:1になるよう無作為化されました。ハラヴェン投与群は、21日を1クールとして、1.4mg/m2/dayを1日目と8日目に静注により投与され、カペシタビン投与群は、21日を1クールとして、2.5g/m2/dayを1日目から14日目まで経口投与されました。

3.  乳がんについて

 乳がんは、女性のがん疾患の中でも罹患数が多く、特に北米および欧州などの先進国で発生率が高いと言われています。日本においても、罹患率、死亡率ともに一貫して増加しており、罹患率は30 歳代から増加を始め、50 歳前後にピークをむかえるという点で切実な問題となっています。
 近年、検診や早期発見の普及により、乳がんの患者様数は増加しており、毎年世界で約100 万人が新たに乳がんと診断されると考えられています。なかでも早期乳がんと診断された患者様の約40%が局所進行性または転移性乳がんへと進行するといわれています。転移性乳がんの5 年生存率は約20%というデータがあります。米国では、毎年約20 万人が新たに進行性乳がんと診断され、約4 万人の患者様が乳がんでなくなられています。また欧州では、人口10 万人あたり毎年110 人が罹患し、そのうち38 人の患者様が、また日本でも人口10 万人あたり毎年33 人が罹患し、そのうち8 人の患者様が、それぞれなくなられています。そして、患者様数は年々増加傾向にあると言われており、未だアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患であると言えます。

4.  エーザイのオンコロジー領域での取り組み

 当社は、がん研究における意義ある革新をめざしており、前臨床探索研究ならびに臨床開発研究において、低分子有機化合物と生物学的薬剤からなる多岐にわたるがん化学療法剤、ならびに支持療法剤を創出するグローバル事業基盤を確立しています。日本においても、「トレアキシン®」、「ハラヴェン®」に続き、モノクローナル抗体「MORAb-003」(一般名:farletuzumab)、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤/マルチキナーゼ阻害剤「E7080」(一般名:lenvatinib)など、今後、がん関連疾患領域の製品の充実化をはかっていきます。