米国FDAよりDNAメチル化阻害剤「DACOGEN®」の急性骨髄性白血病の適応追加に関する審査完了報告通知を受領

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、米国子会社であるエーザイ・インクが、導入療法を施すことが難しい65歳以上の急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia: AML)を適応症とした「DACOGEN®」(一般名:decitabine)注射剤の適応追加申請(sNDA)について、米国食品医薬品局(FDA)より、承認しないとする審査完了報告通知(Complete Response Letter)を受領したと、発表しました。

FDAは、申請用試験(DACO-016試験)において「DACOGEN®」のAML適応における有用性が明確に確認されなかったことを、今回、本申請を承認しなかった理由としています。当社は、審査完了報告通知の指摘事項をふまえ、今後の対応を検討して行きます。

「DACOGEN®」 は、骨髄異形成症候群(MDS)の治療剤として、米国では2006年に承認を取得し、2008年よりエーザイ・インクが販売しています。また、2010年には、1日3回、1回に3時間以上の持続点滴静注による3日間連日投与のレジメンに加え、1回の投与時間を短縮した5日間投与レジメンの承認を取得し、MDS患者様の生活の質(QOL)を考慮した、新たな用法・用量の選択肢を提供しております。

以上

[参考資料として、「DACOGEN®」製品概要、DACO-016試験について、を添付しています]

<参考資料>

1.「DACOGEN®」製品概要(米国)

  • 1)
    製品名
    DACOGEN® for Injection
  • 2)
    一般名
    decitabine
  • 3)
    剤形
    注射剤
  • 4)
    効能・効果
    「骨髄異形成症候群(MDS)」: 治療歴の有無に関係なく、全FAB分類(不応性貧血、鉄芽球性不応性貧血、芽球増加型不応性貧血、移行期の芽球増加型不応性貧血、慢性骨髄単球性白血病)および国際予後判定システム(IPSS)による中間リスク1群、中間リスク2群、ハイリスク群の原発性もしくは二次性の骨髄異形性症候群
  • 5)
    用法・用量
    • 1回15mg/㎡を3時間以上かけて持続点滴静注する。これを8時間ごとに1日3回、3日間連日投与し、39日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
    • 1日1回20mg/㎡を1時間以上かけて持続点滴静注する。5日間連日投与し、23日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
  • 6)
    主な有害事象
    • グレード3または4の有害事象で最も高頻度に認められたもの(MDS患者様を対象とした第3相試験)好中球減少症(87%)、血小板減少症(85%)、発熱性好中球減少症(23%)、白血球減少症(22%)
    • グレード3または4の有害事象で最も高頻度に認められたもの(single-arm試験:99名のMDS患者様を対象に本剤(20mg/㎡)を1日1回、1時間以上かけて点滴静注し、投与開始日から5日間連日投与)好中球減少症(37%)、血小板減少症(24%)、貧血(22%)

2.DACO-016試験について

DACO-016試験は、新たに原発性および二次性急性骨髄性白血病(AML)と診断された65歳以上の患者様で細胞遺伝的に中間リスクおよび予後不良と判定された方を対象に、「DACOGEN®」と医師助言による患者様選択療法(支持療法もしくは低用量cytarabine) を比較対照した多施設、無作為化、非盲検第Ⅲ相臨床試験です。試験参加患者様485名のうち、242名が「DACOGEN®」投与群に、243名が患者様選択療法(支持療法もしくは低用量cytarabine)投与群に割りつけられ、前者に対しては4週間を1クールとし、各クールで「DACOGEN®」として20mg/㎡を1日1回1時間かけて行う静脈内注射投与を5日間連続で行いました。投与は患者様にベネフィットが見られる限り繰り返されました。cytarabine投与群に対しては、20mg/㎡を1日1回10日間連続皮下注射投与、4週間を1クールとし繰り返されました。投与期間中央値は、「DACOGEN®」投与群が4.4カ月、cytarabine投与群が2.4カ月でした。