慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬に関する共同プロモーション契約の締結について

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫、以下「エーザイ」)と、ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都、社長:三谷宏幸、以下「ノバルティス ファーマ」)は、このたび、ノバルティス ファーマが本年9月20日に発売した慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease)治療薬「オンブレス®吸入用カプセル150μg」(一般名:インダカテロールマレイン酸塩、以下「オンブレス」)、ならびにCOPD治療薬として開発中のNVA237(一般名:臭化グリコピロニウム)とQVA149(一般名:インダカテロールマレイン酸塩/臭化グリコピロニウム)に関して、共同プロモーション契約を締結いたしました。

この共同プロモーション契約に基づき、「オンブレス」については12月1日より、ノバルティス ファーマは大学病院や基幹病院を中心に、エーザイは一般病院やかかりつけ医を中心にプロモーションを行うことになり、両社で情報提供活動の更なる充実をめざします。なお製造・販売はこれまで通りノバルティス ファーマが行います。また、NVA237とQVA149については、発売後に共同プロモーションを開始することになります。

今回の共同プロモーション契約は、初回投与時の速やかな効果発現および24時間効果が持続するという両方の特徴を兼ね備えた新しい長時間作用性気管支拡張剤である「オンブレス」と、それに続くCOPD治療薬として第3相臨床試験を実施中のNVA237ならびに、これらの配合剤であるQVA149の製品価値の最大化を目指すノバルティス ファーマと、内科領域における製品ラインナップの更なる充実を目指すエーザイの意向が合致したことから実現したものです。

COPDは、たばこの煙などの有害物質を長期間にわたり吸入することで発症する肺の進行性慢性疾患です。主な症状は、咳、痰や動作時の呼吸困難などで、患者様のQOLが著しく低下するだけでなく、症状が徐々に進行して、やがて呼吸不全を起こす病気です。現在、国内の医療機関でCOPDと診断された患者様は約17万3千人1)と報告されている一方、疫学研究から得られたデータからは530万人2)と推定されており、未治療のCOPD患者様が多数存在することが示唆されています。当社は、日本において、ノバルティス ファーマとともに、より多くのCOPD患者様に、一日でも早く新たな治療選択肢を提供したいと考えています。

両社は今回の共同プロモーションの合意により、COPD治療領域におけるプレゼンスの強化をはかり、シナジー効果を発揮することで、COPD患者様のアンメット・メディカル・ニーズの充足とベネフィットの向上に、より一層貢献してまいります。

以上

[参考資料として、オンブレス、NVA237およびQVA149について添付しています]

<参考資料>

1. オンブレスについて

「オンブレス」はノバルティス(本社:スイス)が開発した薬剤で、現在70カ国以上で承認されており、日本では本年9月20日に発売されました。本剤は、吸入後5分から気管支拡張効果が発現し3)4)、1日1回の吸入で呼吸機能改善効果が24時間持続する5)6)7)即効性と持続性の両方を兼ね備えた初めての長時間作用性吸入β2刺激剤(LABA: Long-Acting β2 Agonist)です。

【製品概要】

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製 品 名 オンブレス®吸入用カプセル150μg(Onbrez® inhalation capsules 150μg)
一 般 名 インダカテロールマレイン酸塩(Indacaterol maleate)
効能・効果 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
用法・用量 通常、成人には1回1カプセル(インダカテロールとして150μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。
承 認 日 2011年7月1日
薬価基準収載日 2011年9月12日
薬 価 150μg 1カプセル 139.60円
発売開始日 2011年9月20日
製造販売 ノバルティス ファーマ株式会社
販売提携 エーザイ株式会社

2. NVA237およびQVA149について

NVA237は、長時間作用性抗コリン剤(LAMA: Long-Acting Muscarinic Antagonist)で、現在、1日1回吸入COPD治療薬として開発が進められており、日本では第3相臨床試験を実施中です。NVA237は、ノバルティスが2005年4月にベクチュラ社およびその共同開発パートナーであるそーせいグループ株式会社から導入したもので、ノバルティスが全世界の独占的開発・販売権を有しています。

QVA149は、LABAの「オンブレス」とLAMAのNVA237との配合剤で、現在、1日1回吸入COPD治療薬として開発が進められており、日本では第3相臨床試験を実施中です。

  • 1)
    厚生労働省「2008年 患者調査」
  • 2)
    The Nippon COPD Epidemiology (NICE) Study – 福地ら, Respirology, 2004
  • 3)
    Balint B, Watz H, Amos C, et al. Onset of action of indacaterol in patients with COPD: Comparison with salbutamol and salmeterol-fluticasone. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2010;5:311-318.
  • 4)
    Vogelmeier C, Ramos-Barbon D, Damon J, et al. Indacaterol provides 24-hour bronchodilation in COPD: a placebo-controlled blinded comparison with tiotropium. Respir Res 2010;11(1):135.
  • 5)
    Donohue JF, Fogarty C, Lötvall J, et al. Once-daily bronchodilators for chronic obstructive pulmonary disease: Indacaterol versus tiotropium. Am J Respir Crit Care Med 2010;182:155-162.
  • 6)
    Dahl R, Chung KF, Buhl R, et al. Efficacy of a new once-daily long-acting inhaled β2-agonist indacaterol versus twice-daily formoterol in COPD. Thorax 2010;65(6):473-9.
  • 7)
    Kornmann O, Dahl R, Centanni S, et al. Once-daily indacaterol vs twice-daily salmeterol for COPD: a placebo-controlled comparison. Eur Respir J 2011;37:273-279.