富山化学工業株式会社とエーザイ株式会社抗リウマチ薬T-614を新薬承認申請

富山化学工業株式会社
エーザイ株式会社

富山化学工業株式会社（本社：東京都、社長：菅田益司）とエーザイ株式会社（本社：東京都、社長：内藤晴夫）は、本日、日本で共同開発中の抗リウマチ薬T－614（一般名：イグラチモド）の新薬承認申請を行いました。

両社は、1998年に締結した本剤に関する共同開発契約およびライセンス契約に基づき、日本で共同開発を行っています。承認取得後は、大正富山医薬品株式会社とエーザイ株式会社が、2ブランド2チャネルでプロモーションを行う予定となっています。

T－614は、富山化学工業株式会社が創製した新規の疾患修飾性抗リウマチ薬（DMARD）です。本剤の承認申請は2003年に行いましたが、標準的治療に対する本剤の上乗せ使用時の有効性および安全性に関するデータが必要であると判断し、追加試験を実施するため、2009年に承認申請をいったん取り下げました。

日本において実施した追加試験は、メトトレキサート（以下、MTX）による治療で効果不十分な関節リウマチの患者様を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験です。MTXとT－614の併用群は、良好な忍容性を示し、主要評価項目である24週時におけるACR20反応率は、プラセボ投与群（MTX単独群）に比べて、有意な改善が認められました。統計学的有意差をもって標準的治療とされているMTXに対する本剤の上乗せ使用時の有効性を確認できたことから、このたび、再申請を行いました。

両社では、本剤により関節リウマチの薬物治療に新たな選択肢を提供し、関節リウマチ患者様の多様なニーズの充足とQOL向上により一層貢献することができるものと考えています。

以上

[参考資料として用語解説を添付しております]

体の多くの関節に炎症が起こり、関節が腫れて痛む病気です。長期間にわたって進行すると、関節の変形と機能障害が起こります。病因は不明ですが、微生物の関与など、何らかの原因により、関節腔の内面を覆っている滑膜細胞が増殖します。また、関節の血管が増加し、血管内から関節滑膜組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球が遊走します。関節局所で免疫応答が起こり、リンパ球やマクロファージが産生するサイトカインの作用により炎症反応が引き起こされ、軟骨・骨の破壊が進行します。

DMARD （Disease Modifying Anti-Rheumatic Drug） は、病気の本態をコントロールするという意味で疾患修飾性抗リウマチ薬と呼ばれています。関節リウマチにおいて炎症を起こす原因と考えられている免疫異常などをコントロールすることが期待されます。既に日本で発売されている主なDMARDに、メトトレキサート、サラゾスルファピリジン、ブシラミンなどがあります。

米国リウマチ学会（ACR：American College of Rheumatology）で作成された関節リウマチの臨床症状改善度の基準です。関節リウマチの活動性に関する7項目（①圧痛関節数、②腫脹関節数、③被験者による疼痛評価、④被験者による疾患活動性の全般評価、⑤医師による疾患活動性の全般評価、⑥被験者による身体機能評価、⑦急性期反応蛋白[CRPまたはESR]）のうち、①および②の20％以上の改善に加え、さらに③～⑦の5項目中3項目で20％以上の改善が認められた被験者の割合を示したものです。