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ニュースリリース

2011年6月24日

欧州医薬品庁がAMPA受容体拮抗剤「ペランパネル(E2007)」の新薬承認申請を受理

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、当社が創製したAMPA受容体拮抗剤「ペランパネル(E2007)」の新薬承認申請が、てんかん患者様の部分発作を適応症として、欧州医薬品庁(EMA)によって受理された、と発表しました。

 EMAによる新薬承認申請の正式な受理は、当社から提出された申請書類が十分であり、EMAによりレビューが開始されることを意味しています。なお、EMAへの新薬承認申請は2011年5月25日に提出されました。また、米国においても新薬承認申請が同様に提出されています。
 「ペランパネル(E2007)」は、高選択的、非競合AMPA型グルタミン酸受容体拮抗剤で、当社創製による新規化合物です。承認されれば、当該メカニズムにおいて、てんかん領域への適応を持つ世界で初めての薬剤となります。てんかんの患者様数は、欧州が240万人、米国が300万人、世界中で4,000~5,000万人と推計されます。多くの既存の薬剤がてんかんの治療に用いられますが、患者様の3分の1は治療後も発作を経験されると言われています1)。当社はこのアンメットメディカルニーズの高い領域に、既存の抗てんかん薬とはまったく異なった作用機序を有する選択肢を提供することを目的とし、ペランパネル(E2007)を開発してまいりました。

 本剤の承認申請は、1,480人の患者様が参加された3つの難治性部分てんかん発作を対象とした第III相臨床試験(304、305、306試験)のデータに基づいています。306試験の主要目的は最小有効量の把握であり、プラセボ、2 mg、4 mg、8 mgの4群から構成されています。また、304、305試験はプラセボ、8 mg、12 mgの3群で構成され、投与量範囲の決定を目的としています。3つの試験ともに、グローバル、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、投与量漸増、並行群間試験で行われました。主要評価項目、二次的評価項目は3つの試験で同様に設定され、発作頻度変化率、発作頻度50%減少達成率が検証されました。これら3つの試験において、もっとも一般的に報告された有害事象(10%以上)は、めまい、眠気、頭痛でした。そして、3つの試験すべてにおいて、難治性部分発作てんかん患者様における有効性、忍容性の双方において矛盾のない一貫した結果が得られています。

 当社は、神経領域を重点領域と位置づけています。「ペランパネル(E2007)」がてんかん治療において新たな選択肢を提供し、「アリセプト®」に次ぐ当領域のグローバル基幹製品になることが期待されます。また、ペランパネルについては、全般性強直間代性発作、部分てんかん単剤療法、さらに小児てんかん患者様の1-4%を占めていると言われているLennox-Gastaut症候群などに関して臨床試験が計画されています。当社は、てんかん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、引き続き貢献してまいります。

以上

[参考資料として、てんかん、AMPA受容体阻害、ペランパネル(E2007)、エーザイのとり組みについて添付しています]

<参考資料>

1. てんかんについて
 てんかんは、様々な精神機能・身体機能に影響を及ぼす発作が生じる疾患です。ある患者様に2つ以上の非誘発性発作が生じると、てんかんとされています。発作は、一時的に過剰な電気的興奮が起こることによって、生じるものです。てんかん発作には、けいれんや意識消失、そして発作として認識されにくいblank stare(ぼうっと一点を見つめる)、唇鳴らし、手足の痙動など、様々な症状が伴います。
 また、てんかんは年齢を問わずに発症し、一生のある時期に0.5%~2%の人がてんかんを発症すると言われています。てんかんの患者様数は、欧州が240万人、米国が300万人、世界中で4000万~5000万人となっています。

2. てんかんとAMPA受容体阻害について
 てんかんの機序には、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸による神経の過剰興奮が関与していることが示唆されており、この過剰興奮に伴う神経細胞内へのカルシウムイオンの過剰流入により、種々の酵素が異常に活性化され細胞機能が破綻すると考えられています。したがって、グルタミン酸受容体を遮断することは、てんかんによる神経機能障害に対する有力な治療方法と考えられます。
 グルタミン酸受容体は、α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole propionate (AMPA)受容体、N-methyl- D-aspartate (NMDA)受容体およびカイニン酸(kainate)受容体の3つのサブタイプに分類されます。そのうち、AMPA受容体は、主に興奮性神経に存在する受容体であり、興奮性神経伝達物質であるグルタミンに刺激されるシグナルを脳内に伝達し、てんかん、神経変性疾患、運動障害、疼痛等、過剰な興奮性神経活動を特徴とする中枢神経系疾患に役割を果すと考えられています。現在、てんかん治療薬において、AMPA受容体を選択的に阻害する新しいメカニズムの治療薬は承認されていません。

3. AMPA受容体拮抗剤「ペランパネル(E2007)」について
  「ペランパネル」は、当社が創製した部分てんかんに対して開発中の新規化合物であり、AMPA受容体に対して高選択非競合的に拮抗する治療剤です。本剤は、第II相・第III相臨床試験において、幅広い発作抑制効果が示されています。本剤が承認されれば、このクラスの世界初の治療薬となります。


4. エーザイのてんかん領域でのとり組み
 当社は、てんかん領域を重点領域と位置づけ、既に成人部分てんかん併用療法として「Zonegran®」(Na/Caチャネル阻害等に基づく抗てんかん剤:欧州、米国、アジア)、「Zebinix®」(電位依存性Naチャネル阻害に基づく抗てんかん剤:欧州)を、また小児の早期から発症する重篤なてんかんであるLennox-Gastaut症候群の併用療法として「Inovelon®/BANZEL®」(Naチャネル阻害作用に基づく新規トリアゾール骨格の抗てんかん剤:欧州、アジア/米国)を販売しております。
 また、「ペランパネル」が、より幅広くてんかん治療においてベネフィットを提供できるよう、適応の拡大をめざし、全般性強直間代性発作、部分てんかん単剤療法、Lennox-Gastaut症候群などの臨床試験を計画しています。当社は、豊富な製品ラインナップに基づいた複数の治療オプションを提供することで、てんかん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、引き続き貢献してまいります。


文献)
1)  Patrick Kwan, M.D., and Martin J. Brodie, M.D. ; Early identification of refractory epilepsy. New England Journal of Medicine 2000; 342: 314-9.