「Lenvatinib (E7080)」 が進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんを対象とする第Ⅱ相臨床試験で59%の奏功率を実証

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、開発中のマルチキナーゼ阻害剤「lenvatinib (米国一般名、当社開発番号:E7080)」が、進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん患者様を対象とする第Ⅱ相臨床試験の予備的解析結果で、治験医師評価によるアップデート客観的奏効率(Objective Response Rate:ORR)が59%(58例中34例、95%信頼区間:45-71)であったことを発表しました。本試験の結果は、2011年6月6日に、第47回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会で口頭発表されます。

マルチキナーゼ阻害剤「lenvatinib (E7080)」のグローバル、非盲検、単群第Ⅱ相臨床試験は、過去12カ月で疾患が進行した放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん患者様58名を対象としました。疾患進行はRECIST評価基準 (Response Evaluation Criteria in Solid Tumors : 固形がんに対する効果を判定する際に用いられる評価基準)に基づいて評価されました。

治療抵抗性分化型甲状腺がんは、治療が困難で生命にかかわる疾患であり、その治療選択肢は限られているため、アンメット・メディカル・ニーズが非常に高い領域です。「lenvatinib (E7080)」 は現在、米国において、進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん患者様を対象とする第Ⅲ相臨床試験が実施されています。

本試験において、最も頻繁に報告された有害事象は、高血圧:74%(Grade 3: 10%)、タンパク尿:60%(Grade 3: 10%)、体重減少:57%(Grade 3: 7%)、下痢:55%(Grade 3: 10%)、けん怠感:53%(Grade 3: 7%)、でした。患者様の35%は、減量により毒性の管理が可能になりました。また、最終的に23%の患者様が有害事象により投与中止に至りました。

当社は、米国、欧州、日本で承認を取得した自社創製の新規抗がん剤「ハラヴェン」をはじめとして、「lenvatinib(E7080)」、「farletuzumab(MORAb-003)」など、乳がん、卵巣がん、甲状腺がん、子宮内膜がんなどのウーマンオンコロジー(女性特有のがん)分野における製品群の充実化に集中して取り組んでいます。これらの取り組みにより、がん患者様とそのご家族、医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献し、当社のヒューマン・ヘルスケア(hhc)ミッションを果たしてまいります。

以上

[参考資料として、「lenvatinib」の第Ⅱ相臨床試験、甲状腺がん、「lenvatinib(E7080)」について添付しています]

<参考資料>

1. 「Lenvatinib(E7080)」の第Ⅱ相臨床試験について

進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんに対するマルチキナーゼ阻害剤「lenvatinib (E7080)」のグローバル、非盲検、単群第Ⅱ相臨床試験は、過去12カ月で疾患が進行した放射性ヨウ素治療抵抗性DTC(乳頭がん、濾胞がん又はヒュルトレ細胞がん)患者様58名を対象としました。疾患進行はRECIST (Response Evaluation Criteria in Solid Tumors : 固形がんに対する効果を判定する際に用いられる評価基準)に基づいて評価されました。本試験は、1日1回「lenvatinib」として1回24mgから投与を開始し、疾患進行もしくは管理不能の有害事象の発現に至るまで28日間を1クールとして投与を繰り返しました。

2. 甲状腺がんについて

甲状腺がんは、気管の付近、頸部の前面に位置する甲状腺の組織に生じるがんの一種です。男性より女性に多く、通常25歳から65歳 までの間に発症します。最も多く見られる甲状腺がんの種類である乳頭がんと濾胞がん(ヒュルトレ細胞がんを含む)は、分化型甲状腺がん(Differentiated Thyroid Cancer: DTC)として分類され、甲状腺がんの95%を占めます。甲状腺がん患者様の多くは、手術および放射性ヨウ素療法で治療できる一方、少数の治療に反応しない患者様もいます。

3. 「Lenvatinib (E7080)」について

「lenvatinib (E7080)」は、当社オンコロジー ユニットが創薬化学技術を駆使して創製した、ユニークな受容体チロシンキナーゼ阻害プロファイルを有する、マルチキナーゼ阻害剤です。血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor: VEGF)の受容体であるVEGFR2のチロシンキナーゼおよび血管新生や腫瘍増殖に関わる複数のキナーゼをバランスよく阻害する、血管新生・腫瘍増殖阻害剤です。現在、当社が複数のがん種で開発中の分子標的薬です。