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ニュースリリース

(2011年3月3日) 印刷用(PDF 311KB)

後期転移性乳がん患者様における「HALAVEN®」の主要臨床試験結果がLancet誌に掲載される
---臨床第III相試験でHALAVEN®は全生存期間である主要評価項目を達成---


 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、当社創製の新規抗がん剤「HALAVEN®」(エリブリンメシル酸塩)の主要臨床試験結果が、医学専門誌「The Lancet」に掲載される、と発表しました1)。今回同誌に掲載されるのは、グローバル第III相試験EMBRACE(Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician’s Choice vs. Eribulin)試験の結果であり、「HALAVEN®」が統計学的有意差をもって、後期転移性乳がん患者様の全生存期間(Overall Survival:OS)延長を実証したという内容です。掲載される試験の結果は、治験医師選択単剤療法患者様の全生存期間が10.6ヶ月に対して、「HALAVEN®」投与後期転移性乳がん患者様の同中央値は13.1ヶ月であり、23% の中央値改善を示しました。これらの結果は、後期転移性乳がん患者様に対する「HALAVEN®」の生存期間延長におけるベネフィットの可能性を示唆するものです。

 「HALAVEN®」は、非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤であり、海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された天然物ハリコンドリンから誘導された全合成類縁化合物です2), 3)。すでに米国食品医薬品局、シンガポール保健科学庁より承認を取得しています。また、欧州医薬品庁の医薬品委員会より、承認勧告(positive opinion)を受領、日本においては優先審査品目に指定され、スイス、カナダとともにそれぞれ審査中です。

 「HALAVEN®」の最も一般的な副作用(頻度25%以上)は、好中球減少(82%)、貧血(58%)、無力症/倦怠感(54%)、脱毛(45%)、末梢神経障害(無感覚、手足等のしびれ:35%)、吐き気(35%)、便秘(25%)でした。重篤な副作用として報告されたのは、好中球減少(発熱を伴う症例:4%、発熱を伴わない症例:2%)でした。また「HALAVEN®」投与中止に至った主な副作用は末梢神経障害(5%)でした。

 「The Lancet」は1823年創刊、180年以上の歴史ある英国外科学会発行の医学誌で、世界5大医学雑誌の1つとされています。雑誌名は、手術用メスの一種であるランセット(Lancet)、および鋭尖窓(Lancet window)に因んでいます。

 当社は、がん領域を重点領域と位置づけ、「HALAVEN®」をはじめとした新規抗がん剤や支持療法に用いられる薬剤の開発に注力しています。これらの取り組みにより、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上
1) Javier Cortes et al, Eribulin monotherapy vs treatment of physician's choice in patients with metastatic breast cancer (EMBRACE): a phase 3 open-label randomised study, Lancet, 377, 2011. in press
2) Heidi Ledford, Complex Synthesis Yields Breast-Cancer Therapy, Nature, 468, 608, 2010.
3) Peter Landers, New Breast Cancer Drug Found Deep In the Sea, Wall Street Journal, January 4, 2011.


[参考資料としてEMBRACE試験概要、HALAVEN®、世界5大医学誌について添付しています]


<参考資料>


1) EMBRACE試験の概要
 EMBRACE試験は、HALAVEN®投与群(21日間を 1クール、第1日目、第8日目に1.4 mg/m2を2分間から5分間かけて静脈内投与)と治験医師選択療法施行群との間で全生存期間を比較することを目的としたグローバル、多施設、無作為、非盲検、並行2群間比較試験です。実際の医療現場を反映するようにデザインされ、平均4種類のがん化学療法による前治療歴のある転移性乳がん患者様762名を対象としました。対照群の97%は、ベルノレピン系(26%)、ゲムシタビン系(18%)、カペシタビン系(18%)、タキサン系(16%)、アントラサイクリン系(9%)、その他(10%)のがん化学療法剤の投与を受け、3%は、ホルモン療法の投与を受けました。患者様の年齢の中央値は55歳(27~85歳)でした。

2) HALAVEN®について
 HALAVEN®は、非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤で、海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出されたハリコンドリンBの全合成アナログです。細胞分裂に重要な役割を果たす細胞骨格成分である微小管を標的とし、微小管の伸長を阻害することによって、がん細胞の分裂が停止され、細胞が自己破壊するとされています。

3) 世界5大医学誌
 ・The New England Journal of Medicine
 ・The Lancet
 ・The Journal of the American Medical Association
 ・Annals of Internal Medicine
 ・British Medical Journal  
(記載順は2009年のインパクトファクターの順位)