経口抗凝固剤「ワーファリン錠」 日本で小児における用法・用量の追加承認を取得

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、経口抗凝固剤「ワーファリン錠」(一般名:ワルファリンカリウム)について、日本で、血栓塞栓症の治療および予防における小児の用法・用量の追加承認を取得しました。本剤は、小児における血栓塞栓症の治療および予防の適応を持つ、日本で初めての経口抗凝固剤となります。

小児の血栓塞栓症は、先天性心疾患、心臓血管疾患、川崎病、カテーテル留置など発症の要因は多岐にわたり、発症した場合には重篤性が高く、生命に重大な影響をおよぼす疾患です。現在、国内で承認されている治療薬では、十分な治療・予防効果が得られない小児の血栓塞栓症も多く、小児医療において解決すべき課題となっていました。

ワルファリン製剤は、フランスでは小児の用法・用量が承認されており、また、小児の血栓塞栓症に有用な薬剤として文献等で多数報告されています。これにより、本剤の小児適応に関し、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高く、公知申請に該当すると評価されました。これを受けて、当社は2010年9月22日に小児の用法・用量追加に関する公知申請を行っていました。

本剤は、ビタミンKに拮抗し、血液凝固因子の産生を阻害することにより抗凝固作用を示します。日本では、1962年の発売時より、成人における血栓塞栓症の治療および予防として一般的に広く使用されています。

当社では、循環器領域の小児適応に関して、2010年5月に頻脈性不整脈治療剤「タンボコール®錠」の追加承認を取得し、2010年11月にカルシウム拮抗性不整脈治療剤「ワソラン®錠」および「ワソラン®静注」の公知申請を行いました。今回承認を取得した「ワーファリン錠」とあわせて、当社は小児医療における適切な薬物療法を確立し、患者様により一層の貢献をしてまいります。

以上

[参考資料として承認概要、公知申請について添付しています]

<参考資料>

1. 「ワーファリン錠」の承認概要 (下線部が今回の追加部分)

  • 1)
    製品名
    ワーファリン錠0.5mg、 ワーファリン錠1mg、 ワーファリン錠5mg
  • 2)
    効能・効果
    血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防
  • 3)
    用法・用量
    投与量や投与回数のコントロールに用いられるのは、Quick1段法によるプロトロンビン時間の測定やトロンボテストである。
    治療域は前者では正常値に対する比が2倍前後、活性に換算して15~30%とするものが多く、後者では10%前後とするものが多い。
    投与法は、ワルファリンカリウムとして、成人初回20~40mgを経口投与し、1両日休薬して凝固能が治療域に入ったのを確認して1~5mg程度の維持量を毎日1回経口投与する方法と、初めから5~6mgを毎日1回経口投与し、数日間をかけて治療域に入れ、以後維持量を経口投与する方法とがある。
    ワルファリンに対する感受性には個体差が大きく、同一個人でも変化することがあるので、プロトロンビン時間測定、トロンボテストなどを特に治療初期には頻回行い、治療域を逸脱しないよう努力する。
    抗凝固効果の発現を急ぐ場合には、初回投与時ヘパリンを併用することがある。
    小児における維持投与量(mg/kg/日)の目安を以下に示す。
    12ヵ月未満:0.16mg/kg/日
    1歳以上15歳未満:0.04~0.10mg/kg/日

2. 公知申請について

公知申請とは、医薬品の適応追加などの承認申請に関して、その医薬品の有効性や安全性が医学薬学上公知であるとして、臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく行う承認申請である。