重症敗血症治療剤 「エリトラン(E5564)」 に関する第Ⅲ相臨床試験は主要評価項目を未達成

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび重症敗血症治療剤「エリトラン」(一般名、E5564)の第Ⅲ相臨床試験であるACCESS(A Controlled Comparison of Eritoran and Placebo in Patients with Severe Sepsis=重症敗血症患者様における「エリトラン」とプラセボとの比較)試験の予備的解析結果に基づき、予定していた米国、欧州、日本の各当局に対しての承認申請を2011年3月末までには行わない、と発表しました。ACCESS試験において主要評価項目である、28日間の総死亡率の減少が達成できなかったことにより今回の決定がなされました。本臨床試験のデータについて引き続き検討を行い、その後の方向性を決定していきます。

ACCESS試験は、試験開始前のAPACHE Ⅱ (Acute Physiology and Chronic Health Evaluation Ⅱ) が21~37である中等度・高度死亡リスクのある重症敗血症患者様の重要な治療選択肢として「エリトラン」を検討したグローバル、無作為化、二重盲検、プラセボ対照比較試験です。APACHE Ⅱ は、敗血症研究に汎用される疾患重症度評価スコア指標で、このスコア指標およびその他の疾患重症度評価指標は集中治療室(ICU= Intensive Care Unit)入室患者様の重症度判定に用いられています。

米国では、毎年約21.5万人が重症敗血症で死亡し、その数は心臓発作を起こす患者様総数と同数、あるいは、肺がん、大腸がん、乳がんと診断される患者様合計総数とほぼ同数で、死亡率は約30%です。また、欧州(EU)における重症敗血症の発症率は、人口10万人に対し90.4人、死亡率は約36%とされています。さらに、日本における同疾患の発症は年に38万人以上と推計されています。

当社の「エリトラン」や敗血症に対する研究・開発の取り組みは、アンメット・メディカル・ニーズの充足、そして患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献する、という当社のヒューマン・ヘルスケア(hhc) 理念を例証しています。

以上

[参考資料として、ACCESS試験、APACHE Ⅱについて添付しています]

<参考資料>

1. ACCESS試験について

ACCESS試験は重症敗血症の治療薬として「エリトラン」を評価するためのグローバル、無作為、二重盲検、プラセボ対照試験です。本試験は、APACHE Ⅱ (Acute Physiology and Chronic Health Evaluation Ⅱ) スコアの21から37で定義される中等度~高度の死亡リスクのある、重症敗血症の患者様群を対象としています。試験の目的は、プラセボと「エリトラン」で、28日間の総死亡率を評価することです。

2. APACHE Ⅱ について

APACHE Ⅱは病態の重篤度を測るシステムで、主として敗血症研究施設や集中治療施設(ICU)で使用されています。生理学的変数として、深部体温、平均動脈圧、心拍数、呼吸数、酸素化能、動脈血pH、血清Na 濃度、血清K 濃度、血清クレアチニン濃度、ヘマトクリット、白血球、グラスゴー昏睡尺度の各変数の点数の和として計算します。

計算方法は、急性生理学的スコア+年齢点数+慢性疾患状態の合計点数です。最小スコアは0、最大スコアは71で、スコアの上昇は死亡リスク上昇と関連します。