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ニュースリリース

(2011年1月24日) 印刷用(PDF 198KB)

抗がん剤「HALAVEN™」 欧州の医薬品委員会より転移性乳がん治療薬として承認勧告を受領
ポジティブなEMBRACE試験データに基づく医薬品委員会勧告


 エーザイ株式会社(本社:東京、社長:内藤晴夫)は、英国子会社であるエーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが、1月21日(現地時間)、当社が創製・開発した抗がん剤「HALAVEN™」(一般名:エリブリン メシル酸塩)について、欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)の医薬品委員会(Committee for Medicinal Products for Human Use:CHMP)より、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種類のがん化学療法による前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん患者様に対する単剤療法としての承認勧告(positive opinion)を受領したと、発表しました。

 今回の医薬品委員会による勧告は、グローバル第III相試験であるEMBRACE試験(Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Treatment of Physician’s Choice Versus Eribulin E7389)の評価に基づいています。同試験では、治験医師選択療法施行群と比べて、HALAVEN™投与群が全生存期間中央値を2.7カ月延長(全生存期間:13.2カ月 vs. 10.5カ月;ハザード比:0.805;p値:0.014)しました。本剤は、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤による前治療歴のある転移性乳がん患者様において、単剤療法で統計学的に有意に全生存期間を延長した世界で初めてのがん化学療法剤です。

 本剤は、2010年11月米国において承認を取得し、現在、日本、カナダ、シンガポール、スイスの各当局に新薬承認申請を提出中です。英国では、英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence: NICE)が単一技術評価(Single Technology Appraisal;(STA))優先審査で評価されるように推奨しました。

 当社は、がん研究における意義ある革新をめざしており、前臨床探索研究ならびに臨床開発研究において、多岐にわたる低分子有機化合物、モノクローナル抗体、治療用ワクチン等のがん化学療法剤、生物学的薬剤、そして支持療法剤を創出するグローバル事業基盤を確立しています。これらの取り組みにより、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献し、当社のヒューマン・ヘルス・ケア(hhc)ミッションを果たしてまいります。
以上


[参考資料としてEMBRACE試験概要、HALAVEN™について、疾患概要を添付しています]

<参考資料>


1) グローバル第III相試験(EMBRACE試験)
 EMBRACE試験は、多施設、無作為、非盲検、並行2群間比較試験で、HALAVEN™投与群と治験医師選択療法施行群との間で全生存期間を比較するようにデザインされました。本試験では、2種類から5種類のがん化学療法剤(アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む)による前治療歴のある、局所再発性あるいは転移性乳がんの患者様762名が対象となり、HALAVEN™投与群と治験医師選択療法施行群に2:1の比率で割り付けられました。治験医師選択療法施行群は、がん治療が認可された単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤治療、または苦痛緩和治療、放射線治療と定義され、大多数(97%)の患者様は単剤化学療法を受けました。
 HALAVEN™投与群で高頻度(頻度25%以上)に認められた有害事象は、無気力(疲労感)、好中球減少、貧血、脱毛症、末梢神経障害(無感覚、手足等のしびれ)、吐き気、便秘でした。この中で、特に重篤な有害事象として報告されたのは好中球減少(発熱を伴う症例が4%、発熱を伴わない症例が2%)であります。またHALAVEN™投与中止に至った主な有害事象は末梢神経障害(5%)でした。

2) HALAVEN™(エリブリン メシル酸塩)注射剤について
 HALAVEN™ は、アントラサイクリン系ならびにタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種類の化学療法剤での前治療歴のある患者様を対象とする、転移性乳がんの治療を適応とする、新規の作用機序を有する非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出されたハリコンドリン類の全合成類縁化合物であり、微小管の短縮(脱重合)には影響を与えずに伸長(重合)のみを阻害し、さらにチューブリン単量体を微小管形成に関与しない凝集体に変化させる作用を有しています。
 現在、新たな適応の拡大をめざし、前治療歴の少ない難治性乳がん、非小細胞肺がん、肉腫、前立腺がんなど、他のがん種についても単剤での後期臨床試験が進行中です。

3) 転移性乳がんについて
 世界では、欧州での421,000人を含めて、100万人以上の女性が乳がんと診断されます。早期乳がんと診断された患者様の約30%が再発性・転移性へと移行し、10人に9人が5年間以上生存しますが、診断時に転移性が見られた患者様の場合は、10人に1人しか5年間以上生存しないといわれています。転移性乳がん患者様の過半数は、約18~24ヶ月という限られた期間の生存になります。