新規抗がん剤エリブリン (E7389) 日本で優先審査品目に指定

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、手術不能または再発乳がんを適応として日本で承認申請を行った当社創製の新規抗がん剤 エリブリン (E7389) に関して、2010年5月18日に厚生労働省より優先審査品目に指定された、と発表しました。

本剤は、2010年3月30日に日本、米国、欧州の各当局に対して、同時に承認申請を行いました。また、スイスとシンガポールの各当局に対しても2009年7月に承認申請を行っています。

米国では、2010年5月28日(米国東部時間)に、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査品目に指定されています。

今回の日本の申請に用いた主なデータは、グローバルで実施した第Ⅲ相試験(EMBRACE試験:Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician's Choice Versus E7389)と、日本で実施された第Ⅱ相試験(221試験)です。

EMBRACE試験は、少なくとも2種のがん化学療法(アントラサイクリンおよびタキサン系抗がん剤を含む)による前治療歴のある、局所再発性・転移性乳がんの患者様762名を対象とした、多施設、無作為化、非盲検、並行2群間比較試験です。本試験では、エリブリン投与群は、主要評価項目である全生存期間において、治験医師選択療法施行群を2.5カ月上回る中央値(13.12カ月 vs. 10.65カ月、p値:0.04)を示しました。また、エリブリン投与群において良好な忍容性プロファイルを認めました。

221試験は、アントラサイクリンおよびタキサン系抗がん剤による前治療歴のある進行・再発乳がんの患者様を対象とした、多施設共同による非盲検の試験です。本試験では、奏効率21.3%(評価対象80例中、奏効例17例)と高い奏効を示すとともに良好な忍容性プロファイルを認めました。

乳がんは依然として、女性のがんによる主な死亡原因の1つです。新しい抗がん剤の開発によりその治療法は年々進歩していますが、手術不能または再発乳がんでは治療の選択肢も決して十分とは言えません。当社は、乳がん患者様および医療従事者のアンメット・メディカル・ニーズを充足することを目的として、本化合物の開発に取り組んでまいりました。

当社は、がん領域を重点領域と位置づけ、エリブリンをはじめとした新規抗がん剤や支持療法に用いられる薬剤の開発に注力しています。これらの取り組みにより、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上