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ニュースリリース

(2010年1月20日) 印刷用(PDF 142KB)

ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®」、生物学的製剤で日本初となる乾癬に関する効能・効果を追加承認取得

アボット ジャパン株式会社
エーザイ株式会社

 アボット ジャパン株式会社(医薬品事業部本社:東京都、代表取締役社長:ゲリー・エム・ワイナー)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役社長兼CEO:内藤晴夫)が、国内で共同開発を進めてきたヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®皮下注40mgシリンジ0.8mL」(一般名:アダリムマブ、以下「ヒュミラ®」)について、1月20日、尋常性乾癬および関節症性乾癬の効能・効果と用法・用量の追加承認を取得しました。日本では関節リウマチ(2008年4月承認取得)に続く効能・効果の追加であり、生物学的製剤としては、日本で初めての乾癬治療剤となります。

 本剤は、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であり、炎症反応に関わる中心的なサイトカインであるTNFαを中和することにより効果を発揮します。日本において「ヒュミラ®」は、アボット ジャパンが製造販売承認を取得し、アボット ジャパンとエーザイによる1ブランド1チャネル2プロモーション方式で共同プロモーションを行っており、販売はエーザイが担当しています。なお、本効能・効果追加に際しては、乾癬に対する有効かつ安全な使用を推進するため、一定期間は投与された全ての患者様を対象に使用成績調査(全例調査)を実施します。

 国内で実施した中等症および重症の尋常性乾癬患者様169例を対象とした臨床試験では、「ヒュミラ®」投与群は、プラセボ投与群に比べて、皮膚症状およびQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を有意に改善し、良好な忍容性を得る結果となりました。

 乾癬は、炎症細胞と表皮細胞が相互に作用する慢性・非伝染性の炎症性疾患と考えられています。日本における患者数は約10万人と推定されており、乾癬の多くを占めるといわれる尋常性乾癬および進行性の関節症状を合併する関節症性乾癬に対し、両社は、「ヒュミラ®」を新たな治療薬として提供することで、患者様のQOL向上に貢献してまいります。


[参考資料として、製品概要、臨床試験概要、用語解説、エーザイおよびアボット社の取組みについて添付しています]
本件に関する問い合わせ先
エーザイ株式会社
PR部
Tel:03-3817-5120
アボット ジャパン株式会社
広報部
Tel:03-4588-4602



<参考資料>



1.「ヒュミラ®皮下注40mgシリンジ0.8mL」製品概要 (下線部が今回の追加部分)
 1) 効能・効果
既存治療で効果不十分な下記疾患
 関節リウマチ
 尋常性乾癬、関節症性乾癬
 2) 用法・用量
【関節リウマチ】
 通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として40mgを2週に1回、皮下注射する。なお、効果不十分な場合、1回80mgまで増量できる。
【尋常性乾癬及び関節症性乾癬】
 通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に80mgを皮下注射し、以後2週に1回、40mgを皮下注射する。なお、効果不十分な場合には1回80mgまで増量できる。

2.乾癬における「ヒュミラ®」の臨床試験について
 乾癬における「ヒュミラ®」の主な臨床試験は、以下の4試験です。いずれの試験も、皮膚疾患活動性の主要評価はPASI*スコアを用いて検討しました。

 1) 国内臨床試験
 国内試験は、全国42施設で、中等症および重症の尋常性乾癬患者様(関節症状を有する患者様:関節症性乾癬を含む)169例を対象として実施されました。本試験はアダリムマブの3用量とプラセボを比較する24週間(有効性の主要評価は16週)の二重盲検試験です。
 投与前と比較して投与16週目のPASI改善率が75%以上を示した患者様の割合(以下、PASI 75反応率)は、アダリムマブ投与群では、40mg隔週投与で57.9%、40mg隔週投与(初回に80mg負荷投与あり)で62.8%、80mg隔週投与で81.0%であり、アダリムマブ投与群はプラセボ投与群(4.3%)に比べて有意に優れた改善効果を示しました。また、投与4週目以降、アダリムマブ投与群においてPASI 75反応率は、プラセボ投与群と比較して有意に高く、効果発現は速やかでした。また、DLQI*やSF36*を使用したQOL評価においても、アダリムマブ投与群はプラセボ投与群に比べて有意に優れ、乾癬患者様のQOLを改善することが確認されました。安全性においては、関節リウマチ患者様で見られたものと同様でした。

 2) REVEAL試験
 REVEAL試験は、カナダと米国で実施されました。本試験は、中等症および重症の局面型乾癬患者様1,212例を対象に、アダリムマブを52週間投与し、短期・長期における有効性と安全性を検討した臨床試験です。
 投与16週目のPASI 75反応率は、アダリムマブ投与群で71%、プラセボ投与群で7%であり、アダリムマブ投与群はプラセボに対して有意な改善を示しました。PASI 100反応率(皮膚症状の完全消失)は、投与16週目にアダリムマブ投与群で20%であったのに対し、プラセボ投与群では1%でした。

 3) CHAMPION試験
 CHAMPION試験は、ヨーロッパ8カ国とカナダで実施されました。本試験は、中等症および重症の局面型乾癬患者様271例を対象として、アダリムマブと欧米での標準治療薬であるメトトレキサートとの効果を比較した16週間の臨床試験です。
 投与16週目のPASI 75反応率は、アダリムマブ投与群で80%、メトトレキサート投与群で36%、プラセボ投与群で19%と、アダリムマブ投与群ではメトトレキサート投与群に比べて有意に優れた改善効果を示しました。投与16週目のPASI 100反応率は、アダリムマブ投与群では17%、メトトレキサート投与群では7%、プラセボ投与群では2%でした。また、投与4週目におけるアダリムマブ投与群の平均PASI改善率は57%でした。

 4) ADEPT試験
 ADEPT試験は、米国、カナダ、ヨーロッパ6カ国で実施されました。本試験は、関節症性乾癬患者様313例を対象として有効性と安全性を検討した臨床試験です。
 投与12週目のACR20反応率を示した患者様は、アダリムマブ投与群で58%、プラセボ投与群で14%であり、アダリムマブ投与群はプラセボ群に比べて有意な改善を示しました。また関節破壊の進展の指標となるmodified-Total Sharp Scoreの投与24週におけるベースラインからの変化は、アダリムマブ投与群がプラセボ投与群に対し有意に小さく、関節破壊の進展抑制効果が示されました。

* PASI:(Psoriasis Area and Severity Index)乾癬症状の程度と広さを全体的に測ることでその治療法が乾癬に有効かどうかを判断する際に使われる皮膚症状の評価方法
* DLQI:(Dermatology Life Quality Index)皮膚疾患のQOL評価
* SF36:(MOS Short Form 36-item Health Survey)36項目健康関連QOL尺度

3.用語解説

 1) 乾癬
 乾癬は、炎症細胞と表皮細胞が相互に作用して、皮膚に「プラーク(局面型皮疹)」と呼ばれる隆起した炎症と鱗屑(りんせつ)を伴う紅斑が生じる慢性の炎症性疾患と考えられています。
 最も多いタイプの尋常性乾癬では、隆起した紅斑部が生じ、その部分の皮膚は銀白色の鱗屑で被われ痒みや熱感を伴うこともあります。病変部は頭皮、膝、肘、腰や手足が多いものの、他の部分の皮膚や、手足の爪や関節にも現れることがあります。乾癬の臨床分類は、最も多いとされる尋常性乾癬をはじめ、炎症性で進行性の関節症状を合併する関節症性乾癬など合計5つに大別されています。
 乾癬は、50歳代をピークに10歳代から70歳以上の高齢の方まで幅広い年齢で発症します。重症度には個人差があり、軽症の患者様では、主に外用療法が行われ、中等症や重症の患者様では、内服療法や光線療法が行われています。
 2) TNFα
 TNF(腫瘍壊死因子:Tumor Necrosis Factor)とは、腫瘍細胞に対する傷害活性を有する因子として発見された細胞間相互作用を媒介するサイトカインの一つです。
 TNFαは、マクロファージ、リンパ球、血管内皮細胞など種々の細胞によって産生され、炎症反応を惹き起こしたり、増強したり、炎症細胞を活性化したりします。一部の免疫疾患で過剰に産生され、炎症反応の中心的な役割をしている物質です。
 3) モノクローナル抗体
 単一株(モノクローン)の抗体産生細胞から得られた抗体で、抗原に対する結合親和性や特異性が均一の抗体です。

4.「ヒュミラ®」(海外製品名:Humira®)について
 「ヒュミラ®」は、ヒトで通常に作られる抗体と類似しており、炎症反応で中心的な役割を演じるTNFα(腫瘍壊死因子α)というサイトカインを阻害することで効果を発揮します。
 現在、「ヒュミラ®」は、82カ国で承認を受け、42万人以上の患者様に投与されています(2010年1月現在)。「ヒュミラ®」の研究は広範に行われており、19,000人以上の患者様に対して行った12年にわたる複数の適応症における大規模な安全性データベースを有しています。また、現在取得している適応症以外の免疫疾患における「ヒュミラ®」の効果を検討するため、現在もいくつかの臨床試験が行われています。

5.エーザイの抗体医薬への取り組み
 エーザイは、従来からの強みである低分子化合物に加えて、バイオロジクス(生物学的製剤)分野へ積極的に取り組んでいます。特に、2007年4月に抗体医薬の研究開発を専門とする米国のバイオベンチャー企業であるモルフォテック社を買収し、同社独自の技術である「Human Morphodoma®」、「Libradoma™」を活用することにより、がん・関節リウマチ・感染症などに対する抗体医薬の創出に取り組んでいます。また、スウェーデンのバイオアークテック・ニューロサイエンス社との提携によるアルツハイマー病に対する免疫療法の研究や、日本でアボット ジャパンとヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®」の開発・販売を進めるなど、抗体医薬を通して患者様とご家族の皆様のQOL向上に貢献することを目指しています。

6.アボットについて
 米国イリノイ州シカゴに本拠を置くアボットは、広範囲のヘルスケアに基盤を置く世界的規模の会社であり、グループ総従業員数 72,000人を擁し、世界130カ国で営業活動を行っています。その事業内容は医療用医薬品、栄養剤、医療機器、診断用医薬品、分析機器の分野における研究・開発、製造、マーケティングそして販売と多岐にわたっています。
 日本国内では、従業員 約2,000人が医療用医薬品、栄養剤、医療機器、診断用医薬品、分析機器の製造開発、ならびに販売とマーケティングに従事しており、東京、福井、千葉に拠点を置いています。アボット ジャパンのプレスリリースは、www.abbott.co.jp、アボット本社のプレスリリースは、www.abbott.com をご参照ください。

7.アボットの免疫分野への取り組み
 アボットは、免疫疾患に対する新規治療薬の創薬と開発に力を注いでおります。1989年に創設したアボット生物科学研究所(米国マサチューセッツ州ウースター)では、自己免疫疾患の新規治療法の開発に向け、世界最高レベルの創薬活動と基礎研究を行っています。
 「ヒュミラ®」(海外製品名:HUMIRA®)に関する詳細や処方情報については、http://www.e-humira.jp/ もしくはwww.HUMIRA.com をご覧ください。
以上