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ニュースリリース

(2009年10月30日) 印刷用(PDF 24KB)

eribulin(E7389)は第3相比較試験において主要評価項目(全生存期間)を達成

本試験データ等に基づき、局所進行性・転移性乳がんについてのeribulinの承認申請提出を予定


 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)が現在開発中の自社創製品である抗がん剤E7389(一般名:eribulin mesylate、以下「eribulin」)について、このたび、局所進行性・転移性乳がんを対象としたフェーズIII試験の解析結果概要が得られましたので、お知らせします。

 欧米において実施された、今回のフェーズIII試験(EMBRACE試験:Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician’s Choice Versus E7389)は、2種から5種のがん化学療法(アントラサイクリンやタキサン系抗がん剤を含む)による前治療歴のある、局所再発性・転移性乳がんの患者様762名を対象とした、多施設、無作為化、非盲検、並行2群間比較試験です。
 本試験では、患者様をeribulin投与群と治験医師選択療法施行群の2群に分け、前者に対しては、21日を1クールとし、各クールの第1日目と第8日目に、本化合物をそれぞれ2分から5分かけて点滴静注しました。治験医師選択療法は、がん治療の適応を持つ単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤療法、もしくは緩和療法、放射線療法と定義しました。
 本フェーズIII試験の解析結果概要によれば、eribulin投与群では、治験医師選択療法施行群に比べ、主要評価項目である全生存期間(overall survival)が統計学的に有意に延長しました。本試験におけるeribulinの安全性は、過去に実施したフェーズII試験で報告されたものと同様の結果であり、最も多く見られた有害事象は骨髄抑制でした。

 eribulinは当社が創製した新規化合物であり、クロイソカイメンから初めて単離された天然由来化合物ハリコンドリンBの合成類似化合物です。タキサン系抗がん剤は微小管を安定化することで細胞分裂を阻害するのに対し、eribulinは脱重合を抑制せずに微小管の伸長を阻害することによって細胞周期を停止させる、微小管ダイナミクス阻害剤です。

 検診による早期発見と革新的な抗がん剤などにより、世界的に乳がんによる死亡率は減少していると言われていますが、乳がんは依然として、がんによる女性死亡者の主要原因の1つであることに変わりはありません。その治療法は年々進歩していますが、進行性や転移性の乳がんでは治療の選択肢も十分とは言えず、より有用な抗がん剤の開発が非常に重要です。

 当社は本フェーズIII試験結果の解析をさらに進め、本試験データなどに基づき、局所進行性および転移性乳がんの適応で、eribulinの承認申請を日本・米国・欧州において本年度中に行う予定です。

 また、当社は、乳がん以外にも非小細胞肺がん、ホルモン抵抗性前立腺がん、肉腫を対象として、本化合物の有効性と安全性の検証を自社で進めています。さらに、当社では、eribulinをクインタイルズ社との戦略的提携契約に基づく共同開発における対象化合物の1つとして取り組むこととしており、非小細胞肺がんおよび膀胱がんに対する開発プロジェクトを進めていく予定です。

 当社は、がん領域を重点領域と位置づけ、eribulinをはじめとした新規抗がん剤や支持療法に用いられる薬剤の開発に注力しています。これらの取り組みにより、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上



<参考資料>


■局所進行性・転移性乳がんについて

 乳がんは、乳房のしこりの大きさ、リンパ節転移や遠隔転移の有無によって大きく5段階の病期(0~IV)に分類されます。局所進行乳がんは第III期に分類され、がんが腋窩リンパ節や胸壁、胸部皮膚、鎖骨の上下のリンパ節などに及んでいる乳がんです。一方、転移性乳がんは第IV期に分類され、がんが遠隔転移している乳がんのことを言います。通常、肺や肝臓、骨、脳などに転移が見られます。
 毎年世界で約100万人が新たに乳がんと診断されると推定されています。G7だけで見ると、その数は46万人弱と推定され、そのうちの最大40%が局所進行性・転移性乳がんへと移行すると考えられています。

■Overall survival(全生存期間)について

 全生存期間とは、無作為化された時点からあらゆる原因によって死亡するまでの期間のことを言います。