アボット ジャパン株式会社、エーザイ株式会社ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®」国内において強直性脊椎炎に関する効能・効果を追加申請

アボット ジャパン株式会社
エーザイ株式会社

アボット ジャパン株式会社(医薬品事業部本社:東京都、代表取締役社長:グレン・エス・ワーナー)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役社長兼CEO:内藤晴夫)が、国内で共同開発を進めてきたヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®皮下注40mgシリンジ0.8mL」(一般名:アダリムマブ、以下「ヒュミラ®」)について、このたび、強直性脊椎炎に関する効能・効果の追加申請を行いました。国内においては、関節リウマチ(2008年4月製造販売承認取得)、尋常性乾癬および関節症性乾癬(2007年9月申請)、クローン病(2009年9月申請)に続き4番目の効能・効果を追加する申請となります。

本剤はヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であり、自己免疫疾患の炎症反応に関わる中心的なサイトカインであるTNFαを中和することにより、効果を発揮します。日本において「ヒュミラ®」は、製造販売承認はアボット ジャパンが取得し、アボット ジャパンとエーザイによる1ブランド1チャネル2プロモーション方式で共同プロモーションを行っており、販売はエーザイが担当しています。

国内で実施した活動性の強直性脊椎炎患者様を対象とした臨床試験において、「ヒュミラ®」は海外試験と同様、強直性脊椎炎の症状・徴候を改善し、良好な忍容性が認められました。

強直性脊椎炎は、頸部から腰部や臀部、時に手足の関節の痛みやこわばりで始まり、これらの部位が固まって次第に動かなくなる慢性の炎症性疾患で、現時点では特異的な治療方法はありません。両社は、強直性脊椎炎の患者様のQOL向上に貢献するために、「ヒュミラ®」を新たな治療剤としてお届けできるよう取り組んでまいります。

[参考資料として、用語解説、エーザイおよびアボット社の取組みについて添付しています]

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<参考資料>

1.用語解説

  • 1)
    強直性脊椎炎

    強直性脊椎炎は、頸部から腰部や臀部、時に手足の関節の痛みやこわばりで始まり、これらの部位が固まって次第に動かなくなる慢性の炎症性疾患です。稀に脊椎や関節の骨性強直や変形を生じる重症例もみられます。好発年齢は10~20代であり、若年の男性で多く発症し、その多くは数十年という長い慢性の経過をとります。原因は未だ明らかとなっておりませんが、遺伝的な要因に加えて、特定の細菌感染などの要因で免疫異常が生じた結果、関節を連結する靱帯の骨への付着部に炎症が生じ、最終的には脊椎や関節の強直に至ります。

    強直性脊椎炎は、組織適合抗原HLA-B27と高い相関を示し、強直性脊椎炎患者の90%以上がこの抗原を有しており、世界中でこの抗原の陽性率にほぼ比例した発生率で認められます。一方、北米白人の一般人口におけるHLA-B27の陽性率は7%、日本人では0.3%と、陽性率は人種により異なっています。

    強直性脊椎炎の主な症状は、初期段階では靱帯や腱の骨への付着部の炎症です。主な病変部位は脊椎、腰部や仙腸関節、四肢の関節でも躯幹に近い肩関節や股関節となります。その炎症部位に強い変性が起こり、それが元の組織に再生されることなく、石灰化もしくは骨化が惹起され、最終的には関節を構成する骨同士が骨性組織でつながり強直(脊椎が骨性に連続し、竹の節状)という状態になります。疼痛や運動制限、圧痛・運動痛に加え、微熱、全身倦怠感や体重減少などの全身症状を来たすこともあります。また、眼のぶどう膜炎など、様々な疾患を合併する可能性もあります。

    強直性脊椎炎の治療として、現時点では特異的な治療方法はありません。炎症が生じている仙腸関節などの部位では炎症性サイトカインであるTNFαが多く存在しますので、このTNFαを中和することで炎症を改善することができると考えられます。

  • 2)
    TNFα

    TNF(腫瘍壊死因子:Tumor Necrosis Factor)とは、腫瘍細胞に対する傷害活性を有する因子として発見された細胞間相互作用を媒介するタンパク質(サイトカイン)の一つです。

    TNFαは、マクロファージ、リンパ球、血管内皮細胞など種々の細胞によって産生され、炎症反応を惹き起こしたり、増強したり、炎症細胞を活性化したりします。

  • 3)
    モノクローナル抗体

    単一株(モノクローン)の抗体産生細胞から得られた抗体で、抗原に対する結合親和性や特異性が均一の抗体です。

2.「ヒュミラ®」(海外製品名:HUMIRA®)について

「ヒュミラ®」は、ヒトに通常存在する抗体と類似しており、自己免疫疾患の炎症性反応で中心的な役割を演じるTNFα(腫瘍壊死因子α)というタンパク質を阻害することで効果を発揮します。TNFαは一部の免疫疾患で過剰に産生され、炎症反応の中心的な役割をしている物質です。

現在、「ヒュミラ®」は、世界80カ国で承認を受け、37万人以上の患者様に投与されています(2009年8月現在)。また、現在取得している適応症以外の免疫疾患における「ヒュミラ®」の効果を検討するため、現在もいくつかの臨床試験が行われています。

3.エーザイの抗体医薬への取り組み

エーザイは、従来からの強みである低分子化合物に加えて、バイオロジクス(生物学的製剤)分野へ積極的に取り組んでいます。特に、2007年4月に抗体医薬の研究開発を専門とする米国のバイオベンチャー企業であるモルフォテック社を買収し、同社独自の技術である「Human Morphodoma®」、「Libradoma™」を活用することにより、がん・関節リウマチ・感染症などに対する抗体医薬の創出に取り組んでいます。また、スウェーデンのバイオアークテック・ニューロサイエンス社との提携によるアルツハイマー病に対する免疫療法の研究や、日本でアボット ジャパンとヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®」の開発・販売を進めるなど、抗体医薬を通して患者様とご家族の皆様のQOL向上に貢献することを目指しています。

4.アボット社について

米国イリノイ州シカゴに本拠を置くアボットは、広範囲のヘルスケアに基盤を置く世界的規模の会社であり、グループ総従業員数72,000人を擁し、世界130カ国で営業活動を行っています。

その事業内容は新薬の研究・開発に加え、医療用医薬品、栄養剤、医療用機械器具、医療用計測器、診断薬の分野における研究、開発、製造、マーケティングそして販売、と多岐にわたっています。

日本国内では、従業員数2,400人、医療用医薬品、栄養剤、医療用機械器具、医療用計測器、診断薬の製造および開発、ならびに販売とマーケティングを行っており、東京、福井、千葉に拠点を置いています。

5.アボットの免疫分野への取り組み

アボットは、免疫疾患に対する新規治療薬の創薬と開発に力を注いでおります。1989年に創設したアボット生物科学研究所(米国マサチューセッツ州ウースター)では、自己免疫疾患の新規治療法の開発に向け、世界最高レベルの創薬活動と基礎研究を行っています。

「ヒュミラ®」(海外製品名:HUMIRA®)に関する詳細や処方情報については、http://www.e-humira.jp/ もしくは www.HUMIRA.com をご覧ください。

以上