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ニュースリリース

(2007年12月4日) 印刷用(PDF 275KB)

アルツハイマー病の原因因子に対する新規モノクローナル抗体
BAN2401のライセンス契約をバイオアークティック社と締結


 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)とバイオアークティック・ニューロサイエンス社(本社:スウェーデン、ストックホルム市、社長:パー・ゲレルフォルス)は、12月3日、次世代のアルツハイマー病治療薬として期待される新規ヒト化モノクローナル抗体BAN2401について、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発、製造、販売に関する独占ライセンス契約を締結しました。

 BAN2401は、アルツハイマー病に対する免疫療法剤創製を目的としたバイオアークティック社との共同研究から得られた、ベータ・アミロイド(Aβ)に対するヒト化モノクローナル抗体であり、同社を設立したウプサラ大学ランフェルト教授により発見された家族性アルツハイマー病の原因であるアークティック変異Aβに関連する研究に基づいたものです。

 本抗体は、Aβの可溶性凝集体の一種であるプロトフィブリルを選択的に認識するヒト化モノクローナル抗体であり、現在、前臨床段階にあります。近年アルツハイマー病発症の原因の一つと考えられている脳内のAβプロトフィブリル量を低下させることにより、アルツハイマー病に対する疾患修飾剤を目指します。

 当社は、自社で創製したE2012(ガンマ・セクレターゼ・モジュレーター)とともに新規性の高い抗体であるBAN2401の開発を進めることで、低分子化合物と免疫療法という異なるアプローチで次世代のアルツハイマー病治療薬の創出を目指します。

 当社は、「アリセプト®」によって切り開かれたアルツハイマー病の薬物療法のパイオニアとしての使命を果たすため、自社開発および他社との提携を通じて、次世代のアルツハイマー病治療薬の開発を加速させていきます。
以上

[参考資料として、バイオアークティック社の概要、用語解説、当社のアルツハイマー病治療薬への取り組みについて添付しています]

<参考資料>


1.バイオアークティック社の概要
 バイオアークティック・ニューロサイエンス社は、アルツハイマー病研究において世界的に著名なウプサラ大学ランフェルト教授らのアルツハイマー病に関する研究成果の産業応用をめざし、2003年1月に設立されたバイオベンチャー企業です。

2.用語解説
1)アルツハイマー病の発症とベータ・アミロイド(Aβ)プロトフィブリル
 アルツハイマー病発症には、神経毒性を有するAβの脳内への蓄積が重要な役割を果たしていると考えられています。病理学的には、繊維化し不溶性となったAβを主成分とする老人斑が脳内に認めらます。

近年の研究により、アルツハイマー病の発症プロセスとしての神経毒性の本体は、繊維化し不溶性となったAβではなく、その前段階であるAβプロトフィブリルを含む可溶性のAβ凝集体であることが明らかにされています。

2)アルツハイマー病の免疫療法
 アルツハイマー病免疫療法には、Aβを投与して生体内でAβに対する免疫反応を惹起させるワクチン療法や、Aβをターゲットとしたモノクローナル抗体を投与する抗体療法があります。BAN2401はバイオアークティック社の有する技術を用いてAβプロトフィブリルをターゲットとした抗体療法を目指すもので、アルツハイマー病発症の原因の一つと考えられている脳内のAβプロトフィブリル量を低下させるものです。
3)アークティック変異Aβ
 2001年にウプサラ大学ランフェルト教授が発見した家族性アルツハイマー病を引き起こすAβの変異であり、正常のAβとはアミノ酸配列が1ヶ所異なることが明らかとなっています。

3.当社のアルツハイマー病治療薬への取り組み


E2012とBAN2401
 E2012は自社で創製した低分子化合物で、ガンマ・セクレターゼ・モジュレーターとして病因となるAβの産生を抑制します。一方、BAN2401は免疫療法薬を目指すヒト化モノクローナル抗体であり、アルツハイマー病の原因と考えられるAβ成分を除去します。