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ニュースリリース

(2002年1月25日)

アルツハイマー型痴呆治療剤「アリセプト」、脳血管性痴呆の第三相試験結果を学会発表


 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の米国現地法人エーザイ・インク(本社:ニュージャージー州、社長:ウィリアム・シェルドン)は、アルツハイマー型痴呆治療剤「アリセプト」の脳血管性痴呆を対象として欧米で実施した二つの第三相試験のうち、最初に終了した試験の結果を第二回国際脳血管性痴呆学会(開催地:ザルツブルグ)で発表しました。「アリセプト」投与群は、脳血管性痴呆の認知機能と全般臨床症状において、プラセボ投与群に比べ二重盲検試験で有意な改善が認められました。


 脳血管性痴呆は、脳血管障害に起因する痴呆で、アルツハイマー型痴呆についで多く、診断される痴呆症全体の1/3程度といわれています。危険因子は高血圧、糖尿病、高脂血症および喫煙で、加齢とともに有病率は増加します。欧州における70~80歳での有病率は1.5~4.8%と考えられており、米国では痴呆症と診断された65歳以上の9~39%が脳血管性痴呆と推測されています。


 試験は、「アリセプト」の5mgおよび10mgにプラセボ投与群を加えた3群の比較試験で、投与期間は24週間です。対象症例は、NINDS-AIRENと呼ばれる基準によって選択された脳血管性痴呆患者で、アルツハイマー型痴呆を除外しました。その結果、平均年齢75歳の男女616例が試験に参加し、ほとんどでCT(コンピュータ断層画像)もしくはMRI(磁気共鳴画像)により脳血管障害の所見が認められ、最も多かった併用薬は心疾患予防薬で、脳卒中予防薬も80%以上に使用されていました。有効性の指標である認知機能を評価するADAS-cogおよび全般臨床症状を評価するCIBIC plusの両スコアにおいて、5mgおよび10mg両群でプラセボ投与群に比べ有意な改善が認められました。有害事象の発現率では、プラセボ投与群に比べて有意な差はありませんでしたが、「アリセプト」の作用機序から予測される消化器系の有害事象(下痢、悪心)がプラセボ群より多く認められました。試験を中止した125例中73例は有害事象によるものでした。今回発表した結果は、脳血管性痴呆の効能追加として行った2試験のうちの1試験で、もうひとつの試験結果は2002年の中ごろに発表する予定です。


 なお、当社はこれら2試験の結果に基づき、脳血管性痴呆治療の効能追加のために欧米各国の当局に申請する予定です。また、戦略的アライアンスパートナーであるファイザー社も同社テリトリーで同様に対応します。


 「アリセプト」は、エーザイが独自に合成したアセチルコリンエステラーゼ阻害剤で、神経伝達物質である脳内アセチルコリン濃度を高める作用を持つ、軽度および中等度のアルツハイマー型痴呆治療剤です。現在日本、米国、英国、ドイツ、フランスなど世界50カ国以上で販売されています。今年度の売上は、約895億円を見込んでいます。


以 上 




■用語説明

NINDS-AIREN基準

=National Institute of Neurological Disorders and Stroke and the Association Internationale pour la Recherche et l'Enseignement en Neurosciences Criteriaの略。


脳血管性痴呆の診断基準。脳血管性病変の他、見当識、注意力、言語技能、視覚空間認知能力、計算力、実行機能、運動制御、習慣、抽象概念、判断力など日常生活を妨げる少なくとも二つ以上の認識領域の障害と、記憶障害をもとに判断する。

ADAS-cog

=Alzheimer's Disease Assessment Scaleの略。


認知機能の評価尺度。記憶、見当識、言語、理解など一定の領域での認知障害を評価するための11項目からなる尺度。スコアは0~70ポイントの範囲で、スコアが高いほど重度の認知障害であることを示す。
 なお、11項目とは、単語再生、口頭言語能力、言語の聴覚的理解、自発話における喚語困難、口頭命令に従う、手指および物品呼称、構成行為、観念運動、見当識、単語再認、テスト教示の再生能力である。

CIBIC plus

=Clinician's Interview-Based Impression of Change with caregiver inputの略。


全般臨床症状の評価尺度。介護者や家族と面談した後、患者本人と面談することにより包括的な評価を行う。評価項目は全般、認知、行動および日常生活動作の4分野で、投与前の状態とそれぞれ比較する。評価は、著明改善(1点)、改善(2点)、軽度改善(3点)、不変(4点)、軽度悪化(5点)、悪化(6点)、著明悪化(7点)の7段階で行われる。