飛鳥時代
歴史書から赤斑瘡(あかもがさ=麻疹)などの感染症が流行したことがわかります。中国や朝鮮半島から渡来した医師による医療活動も行われていましたが、多くの人々は加持祈祷(かじきとう)に頼ることが多かったようです。
奈良〜平安時代
貴族の日記や記録から、豌豆瘡(わんずかさ=天然痘)などの感染症の流行以外に、中風(脳卒中)、消渇(しょうかち=糖尿病)、脚気、虫(寄生虫症など)、瘧(おこり=マラリア)などの病気がすでに知られていたことがわかります。加持祈祷やまじないにすがることもありましたが、国家による医師養成が行われました。
鎌倉・室町・安土桃山時代
武士が台頭して戦乱が続いた時代には、僧侶が困窮している人々を救うために治療を行いました。僧侶や武士の中から医師になる者もありました。戦乱による傷の手当を行う金創(きんそう)外科が発達しました。外国との交流が進み、海外から梅毒(ばいどく)が伝来しました。
江戸時代
徳川幕府の統治下で、戦乱のない世の中が続きました。疱瘡(ほうそう=天然痘)やはしか(=麻疹)、はやり風(=インフルエンザ)などの感染症が流行を繰り返していたほか、疝気(せんき)や癪(しゃく)のような腹や胸が痛む病気、血の道(婦人病)、虫(寄生虫症や疳の虫)などの病気が知られていました。江戸時代には漢方医学や、オランダから伝わった蘭方医学が発達し、多くの医師がこれらの病気治療に取り組みました。
幕末〜明治時代
幕末にはコレラが伝来して猛威をふるったほか、明治時代には工場や軍隊を通じて、労咳(ろうがい=肺結核)の感染が拡大しました。この頃、ヨーロッパでは病原菌が発見されたり、新しい薬や治療法が開発されました。日本の医師は、ドイツやイギリスを通じて西洋医学を吸収し、病気の治療を推し進めました。