5世紀ごろから、半島(新羅・百済)や大陸(隋・唐)文化の移入とともに、医学の知識も入ってきた。8世紀、律令制のもとで内薬司・典薬寮など、初の医療制度が生まれた。しかし、一般庶民は、その恩恵に浴することはなかった。当時、一般庶民の医療はまだまだ”神だのみ”の域を出ることはなかったが、寺院の施薬事業など、僧医の活躍を見逃すことはできない。
こうした僧医の活躍の一方で、従来の医学に固執し、宋医学の流れに乗りきれず弱体化した官医たちは、苦しい生計を立てるために、一般庶民の診療も手掛けるようになり、町医者、いわゆる開業医が出現することになる。 |
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