綺麗は、外見を華やかに装うのではなく、健康な心と身体に宿るもの。体内の様子が、肌の色・艶、声のハリ、表情など、容姿にも表れる。 それぞれの体質や健康状態にあった食べものや薬草、鍼灸や漢方薬などは、健康な体をつくる妙薬だった。
日本各地に有名な婦人薬があった。どの薬も、袋入りの生薬を熱湯の中で振り出して、お茶のように飲用する。温かい飲み物を手軽に飲むことで、冷えやすい女性の体を芯から温める効果もあった。体質に合った婦人薬を継続的に常用して体質改善したり、具合が悪い時に服用することで苦痛を和らげて、穏やかな日常生活を送る工夫をした。
人参龍王和順湯
女性は出産という役割を担うために、月経や妊娠、分娩、閉経など複雑な身体機能を備えている。規則正しい月経サイクルや身体バランスに合わせた生活を大切にし、月の満ち欠けや潮の満ち引きに合わせた注意や戒めを守り、妊娠中の過ごし方に気を使い、月経痛の緩和、不妊症や更年期障害など、女性特有の身体の症状に注意を払った。
診断用の女性人形
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」 美人を形容する表現としてよく使われる慣用句。立っている姿が芍薬のように風情があり、座ると牡丹の花のように華麗で、歩く様子は百合の花のように柔軟で清楚な美しさだという意味。いずれも、女性特有の病を癒す薬草としても使われる。
<左>芍薬(シャクヤク)<右上>牡丹(ボタン)<右下>百合(ユリ)