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資料 学会展示会へ行く (2011.05.20)

 先日、第99回日本泌尿器科学会総会が名古屋国際会議場で開催されました。当館収蔵の資料のうち『解体新書』などわが国の医学の歴史に関する資料62点を貸し出し展示しました。当館から他の博物館への貸し出しはよくありますが、学会展示は5年ぶりのことです。

 今回のメインテーマは「医道白寿〜永遠への途上〜」でした。白寿は99歳の長寿をお祝いする言葉として知られます。これは“医療がいかに進歩しても、医の基本は「医道」にあることの再認識と、先達が築かれた輝かしい歴史を紐解きながら、希望に満ちた「未来への途上」になることを願い、若い医師が自信と誇りを持って先進医学に取り組んでいくために、先達の輝かしい偉業の奥の苦労と努力の足跡を知ることが大切・・・。”という熱き思いを学会会長の先生から伺ったのは1年以上前のことでした。私自身、大変感銘を受けました。

 学会の会場で当館の資料は「医学歴史・未来館」にて展示されました。資料は日本最初の解剖図『蔵志』、最初の翻訳解剖書『解体新書』、『解剖図絵巻』其の他、泌尿器に関連する内容を古書籍から選び紹介しました。例えば医学ハンドブックとしてロングセラーの『医範提網』の中から、前立腺の当時の記載について、『病因精義』では結石の成因論、尿道結石の治療、腎痛の分類などが記載されていることを、具体的に詳細な説明をつけ紹介されました。『解剖図絵巻』の中からは腎臓の絵図を、『華岡青洲癌着色図』の中から特に「泌尿器」に関する絵図を選び、その画像をパネルにしていただきました。中には収蔵庫に保管され、これまで展示されたことのない図書もありました。私たちが今までに開けたことがないページであったり、初めて掲載されていることを知ったものも多く、まさに「目からうろこ・・・」の状態でした。

 今回の展示の特徴は、泌尿器科臓器名の変遷が一目でわかる年表、医師の目より吟味された資料や書籍、そして説明文にあったと思います。さらに、展示をご担当された先生が古い史資料を地道に調査され、自ら展示構成を練られ、真に意図するものをしっかりと伝えようとされたことです。このため、会場を訪れた多くの学会参加者が熱心に資料を見入り、極めて好評でした。このように特定の診療科を中心とした内容を一同に展示したのは、当館としても初めてでした。

 今回の学会は東北大震災の影響で規模を縮小化したにも関わらず、多くのご参加があり、「医学歴史・未来館」は4日間で海外も含め2325名もの方にご来館いただけたことを大変うれしく思います。
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