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猫の衛生医療道具? (2009.03.06)

 猫と一緒に暮らしています。9歳半になるチンチラ系の雑種猫で名前は「ふくちゃん」、ぬいぐるみのようにフワフワの毛並みでおっとりした性格のメス猫です。膝に乗ったり抱っこを嫌がる気難しい一面もありますが、気がつくと甘えた表情と鳴き声で擦り寄ってきています。飼い主に従順な犬に比べると、プライドが高くて気まぐれな猫を嫌う人もいますが、私は感情の赴くまま気持ちをストレートに表現する猫をながめていると、ほのぼのとした気分になります。仕事に疲れたとき、失敗して落ち込んだとき、猫は人間の言葉が分かるような表情で癒してくれるのですよ。

 先日、この「ふくちゃん」がグッタリと元気がないので動物病院で診てもらいました。人間と違い、どのように痛いのかを伝えられない動物の病気を正確に診断する獣医さんはすごいですね。すぐに子宮内蓄膿症だとわかり、入院して手術することになりました。エコー検査、血液検査、点滴、麻酔、手術、抜糸・・・。ここまでは人間とほぼ同様ですが、大きく違うものが一つ、手術後の「エリザベスカラー(Elizabethan collar)」です。なんだかゴージャスな名前ですが、手術、皮膚病、怪我などの外傷を持った動物が、傷口をなめることによって傷を悪化させることを防ぐ為に、首の周りにつける半円錐形状の保護用具、つまり動物用の衛生医療道具です。猫には迷惑な道具ですが、体の柔らかい猫がお得意の舌でなめて行う毛づくろいを一時的にできなくしてしまう予防装置、よく考えられています。これを「エリザベスカラー」と呼ぶようになったのは、16世紀イギリスのエリザベス朝時代のファッションとして人々が装着した分厚い襟に似ていたことが語源だそうです。

 これをつけると、猫が移動するとき隅ばかりを歩いていることがよくわかります。扉や階段にぶつかって歩いたり、餌が食べ難かったりと不自由の連続です。プライドの高い猫にとっては災難ですが、はた目で見ていると大きな頭と顔が強調された姿で歩いているので、つい笑ってしまいました。怒らないでね、ふくちゃん!
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