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医薬品アクセス

マネジメント

医薬品アクセスを支えるマネジメント体制

 エーザイの医薬品アクセスの方針や活動プログラムは、経営陣により強固に支えられています。当社は、医薬品アクセス方針が正しく実行に移され、患者様に必要な支援が提供され、社会への投資活動が意図した通りの成果を出すために、効果的なマネジメント体制を整備しています。

担当役員

 エーザイでは、コーポレートアフェアーズ担当執行役が、医薬品アクセス戦略の全体責任者と定められ、CEOを委員長とする執行役会に対し随時報告を行います。

エーザイにおける医薬品アクセス担当役員

 2015年10月現在、執行役 コーポレートアフェアーズ担当の佐々木小夜子が、医薬品アクセス戦略の全体責任者と定められています。

グローバルアクセスストラテジー室

 専任組織であるグローバルアクセスストラテジー室(GA)が、新ビジネスモデル、官民パートナーシップ(PPP)や製品開発パートナーシップ(PDP)の開発を担当し、エーザイの医薬品アクセス戦略をリードする役割を担っています。エーザイ内外でのパートナーシップを通じて、医薬品アクセスに関するイニシアティブの策定と実行を担当し、患者様とご家族の皆様にもたらした成果についても評価を行います。関連部署の代表者を集め、医薬品アクセスに関する戦略のレビューや新たな取り組みの検討を行うと共に、主にエーザイのコーポレートウェブサイトや社の出版物を通して、エーザイの医薬品アクセスに関するイニシアティブの紹介も行っています。

医薬品アクセス アドバイザリーボード

 エーザイでは、医薬品アクセスに関し、高い見地よりアドバイスを得ることを目的として、国際政策に精通した外部専門家によるアドバイザリーボードを設立しています。

医薬品アクセス アドバイザリーボードの紹介

 医薬品アクセスの問題は複雑であり、医薬品企業のみで解決するのは困難です。エーザイはヘルスケア提供の持続的な仕組みを作り上げるには、民間・公共部門の協調によるソリューションが必要であると考えています。さらに、医薬品アクセスについてより有効な貢献を行うには、グローバル・ヘルスやその他の関連政策を充分に理解することも重要です。

 エーザイは、国際政策や開発の分野における有識者を集めた「医薬品アクセス アドバイザリーボード」を設立しました。「医薬品アクセス アドバイザリーボード」は、患者様とご家族に対し持続的にソリューションを提供するためには、どのような活動が必要とされ、コストパフォーマンスが高く、大きな効果を上げることができるかについて、エーザイに提言・助言を提供します。

 本アドバイザリーボードの会議は年2回開催され、2011年より計7回の会議が開催されました(2015年10月現在)。

 医薬品アクセス アドバイザリーボードのメンバーを紹介します(2015年10月現在)。

坂場 三男氏(議長)

坂場 三男氏(議長)

元・駐ベトナム/ベルギー大使。横浜市立大学卒業後、1973年に外務省に入省。外務省の研修生として、フランス モンペリエ大学へ留学(1974年-1976年)。その後、経済協力局技術協力課長としてJICAを、またOECD代表部参事官として開発協力問題をそれぞれ担当。シカゴ総領事、中南米局長および外務報道官を歴任し、駐ベトナム大使(2008年-2010年)、駐ベルギー大使(2012-2014年)を務めた。2014年9月に退官し、現在、横浜市立大学教授として国際政治の教鞭をとる。

ウジャル・シン・バティア氏

ウジャル・シン・バティア氏

元・世界貿易機関(WTO)インド政府代表部大使。1974年より二十年間、西インドのオリッサ州開発局で、インド高等行政官(Indian Administrative Service)として勤務。1995年から2000年まで、デリー中央政府の商工省(Commerce and Industry Ministry)で、次官補を務める。在任中、国内、二国間、多国間といった様々な貿易ポリシー課題を取り組む。その後、2000年から2004年にわたって、オリッサ州に戻り、首席秘書を含むシニアポジションを経験。2004年から2010年まで、WTOにおいてインド政府代表部大使を担当。現在、WTOの上級委員会(Appellate Body of WTO)会員を務める。

中谷 比呂樹氏

中谷 比呂樹氏

元・WHO(世界保健機関)本部事務局長補。慶應義塾大学において医学士を取得、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学大学院において医学教育修士課程(M.H.P.Ed)を修了後、慶應義塾大学において医学博士を取得。厚生労働省での勤務を経て、2007年3月から2015年5月までWHO本部事務局長補として、エイズ・結核・マラリア・顧みられない熱帯病(NTD)からなるWHOの中で最も大きな分野である感染症対策を牽引。在任期間中、三大感染症の罹患率と死亡率を下げ、幾つかの熱帯病は制圧に、ギニア虫感染症に至っては撲滅に向けて順調に進行を果たす。現在、慶應義塾大学特任教授(スーパーグローバル事業)を務める。

医薬品アクセス アドバイザリーボードからのメッセージ

<坂場 三男氏(議長)>

 国際保健分野を取り巻く環境が劇的に変化しています。2014年から2015年、アフリカで広がったエボラ出血熱が国境を越えて世界に恐怖を与えたことで、グローバルヘルスに対する危機管理(リスクマネジメント)の体制不備の深刻さを露呈しました。アジアで、最近発生したSARSや鳥インフルエンザ、MERSなどの感染症の例をみても、我々が対応できていないことは明らかであり、長く取り組んできたHIV/AIDS、マラリア、結核症も未だに深刻です。健康問題は国連の新しい持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)と人間の安全保障においても重要な議題です。それらの背景に、ユニバーサルヘルスカバレッジの分野での貢献をさらに強めるため、日本政府は2013年に国際保健外交戦略を策定しました。官民パートナーシップを仕掛ける土壌は整っています。

 エーザイは、途上国・新興国での顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)に対する取り組みで模範的な役割を果たしています。もっとも広く蔓延しているNTDsのひとつであるリンパ系フィラリア症の制圧に協力して、エーザイはWHOに治療薬を提供しています。2012年1月、2020年までに10のNTDs制圧に向けて共闘するという過去最大の国際的官民パートナーシップ「ロンドン宣言」にエーザイは日本の製薬企業として唯一加わり、また、2013年には、新興国で蔓延する感染症に対する日本初の官民パートナーシップであるGHIT Fund(グローバルヘルス技術振興基金)の設立にも貢献しました。医薬品アクセス(ATM)に関連するエーザイのすべての活動は、ATM財団(Access to Medicine Foundation、オランダ)が公表するATM Indexにおいて11位と高く評価されたことにつながっています。

 外交官職の大部分を国際開発協力分野で寄与してきた私は、エーザイのATMチームの一員となったことを光栄に思っています。私は、エーザイが、現在進めている数々WHI(World Health Initiative)と呼ばれる感染症治療薬の開発プロジェクトに協力して、感染症に苦しむ国際社会をその苦しみから解放するという、さらに大きな貢献を達成できると確信しております。

<ウジャル・シン・バティア氏>

 巨額な研究費用が必要な製薬企業のビジネスモデルでは、最終的な収益ばかりに目が行きますが、「ヒューマン・ヘルスケア」といった領域で活動する企業は、自らのより大きな責任―自ら開発した製品を、それを最も必要としているにもかかわらず医薬品アクセスを断たれている人々に届けること―に気づかなければなりません。

 このより大きな責任は、エーザイの医薬品アクセスにおける取り組みの原動力となっています。エーザイの医薬品アクセスへのコミットメントは、新たなビジネスモデル、官民パートナーシップ、そして製品開発パートナーシップを継続的に追求している努力に反映されています。リンパ系フィラリア症と戦う官民パートナーシップを確立するためのWHOとの2010年の提携は、このコミットメントの一例です。この提携に基づき、世界で最もリンパ系フィラリア症が蔓延している地域で、WHOがこの熱帯病と戦うことができるよう、エーザイはWHOにジエチルカルバマジン(DEC)錠を22億錠、無償提供しています。

 2020年までに顧みられない熱帯病10疾患の制圧を目指す、ユニークな官民パートナーシップ「ロンドン宣言」へのエーザイの参画も、医薬品アクセスという目標へのコミットメントを表しています。また、エーザイは日本政府が立ち上げた「グローバルヘルス技術振興基金」へ積極的に参画し、グローバルヘルスのための技術の発見および開発に貢献しています。そして、エーザイが『医薬品アクセス貢献指数』において、日系製薬会社の中で最も上位に位置づけられていることは、医薬品アクセスという基本的な考え方がエーザイの企業理念の中に根付いていることを示す好例です。

 医薬品アクセスの目標は不変ですが、各国の政策や戦略の違いにより、国によって医薬品アクセスの方法で異なる運用をする必要があります。例えば、インドでは、公共医療制度が未だ完備されておらず、患者の大半が貧しいため、現地特有の複雑さを考慮した独自のアプローチが必要です。抗がん剤ハラヴェンをインドで発売するにあたり、エーザイは患者様の所得を考慮した価格設定を導入しました。私はこの取り組みを大変嬉しく思います。

 エーザイの医薬品アクセスに対するユニークな取り組みは良識あるグローバル企業として際立っています。私は、今後、この取り組みがますます深化することを確信しております。

<中谷 比呂樹氏>

 私は医学部を卒業し、実社会に出てから、日本の国内外で、医療アクセスを妨げられた方々の問題に一貫して携わってきました。日本の厚生労働省で難病、エイズ、ハンセン病、精神疾患を含む障碍者保健福祉という医学を超えた対策が必要な分野を担当しました。また、2007年から8年にわたり事務局長補(Assistant Director-General: ADG)として勤務した世界保健機関(World Health Organization:以下、WHO)においては、HIV/エイズ、結核、マラリアそして顧みられない熱帯病対策を担当し、患者・感染者の方々に医療サービス、特にその中核となる医薬品へのアクセス向上に、世界中から集まった300人の仲間とともに取り組みました。その結果、幾多の官民パートナーシップを形成することが出来、製薬企業の参加も次第に増えました。今では、製薬企業からの医薬品の無償提供が、WHOの進める対策の重要な柱となり、低所得国において、熱帯病がもたらす貧困と病気の連鎖が断ち切られつつあります。 

 日本の製薬企業でいち早く、このような世界的な取り組みに参加したのがエーザイです。リンパ系フィラリア症を完全制圧するために必要な医薬品DEC(ジエチルカルバマジン)錠をWHOに無償で提供するとの覚書をWHO事務局長のマーガレット・チャン博士と内藤晴夫CEOが結び、また一つ熱帯病を追い詰め、制圧するという新たな歩みが歴史に刻まれました。その調印式に臨み、一人の日本人として胸が熱くなりました。しかし、世界の状況を俯瞰するに、一日1.25ドル以下で生活する最貧者が、実は目覚ましい経済発展をとげる新興国にも多数いるという現実、良い薬はあっても低・中所得国では経済的に賄えないという実態、これらの諸国で引き続き猛威をふるう疾患を治療するための医薬品には、十分な研究開発努力がなされていない現状など、心痛む状況が続いています。私は、エーザイが、その企業理念human health careを、医薬品が届きにくい方々の医薬品アクセス改善を通して、一歩でも前進させることができると期待しています。そして、優れた医薬品のアクセス向上を通じて、世界の人類の健康により大きな貢献をされるとともに、株主の皆様には、エーザイの株主であること、従業員の方々には、エーザイで働くことに誇りに思っていただけるよう、エーザイのマネジメント・チームに助言したいと考えています。

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