フィリピンでのリンパ系フィラリア症患者様との共有化体験記

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2014年4月24日掲載

エーザイは、リンパ系フィラリア症(LF)の制圧のため、2013年より世界保健機関(WHO)へのジエチルカルバマジン(DEC)供給を行っています。単に薬剤を提供するに留まらず、LF患者様へのより包括的な貢献をめざし、LF蔓延国の一つであるフィリピンで、患者様とエーザイの各国担当者による交流会を行いました。

今回お会いできた5名のLF患者様は、16歳から77歳までの男女で、それぞれLFの特徴的な症状である象皮症の進行度や生活の状況は異なるものの、おおむね経済的に困難な状況にあり、最近まで自分の病気が何なのか知らなかったり、繰り返し誤診されたりという場合も多く、疾患の認知度・理解度が非常に低いことが再認識されました。16歳の男の子は、祖父母の家に一時住んでいたことから、集団投薬を受けられなかったことがあり、LFを発症してしまいました。一見小学生に見える程に小柄で、左足に特に大きく象皮病の症状が出ており、病気のために小学校低学年から学校に通うのをやめてしまっていました。初めはとてもシャイだった彼ですが、徐々に打ち解けて、最後には私たちに歌を歌ってくれました。

LFのために夫と離別された50代の女性は、感染していることをとても恥ずかしいことと感じ、日常生活において積極的になれないと悩まれていました。初めは、悪霊による病気だと思い込んでいたので、医師の診察を受けておらず、その後も繰り返し間違った診断を受けました。足が奇形となってしまったことがとても辛く、しかし、いつの日か痛みや熱が取れ、腫れが引くような治療が受けられたらという希望を語ってくださいました。

患者様の多くは、ご家族以外とコミュニケーションを取ることが稀なため、外部の、ましてや外国人である私たちとお話するに当たって、初めは硬くなっていらっしゃいましたが、徐々に心を開き、楽しんで頂ける様になりました。
患者様は全員、左右の足の大きさが異なるため、フィリピン厚生省支給のカスタムメイドのサンダルを履いていましたが、このような足の奇形を治すには、継続的な衛生管理やマッサージなどのケアと外科的手術しかなく、手術を受けても完全には元の足の状態には戻らないとのことでした。
LFに感染している患者数自体は多いものの、深刻な象皮症などを発症している「目に見える」患者数が少なく、目立たない暮らしをされているケースが多いため、今回初めて自分以外の患者に会ったという方がほとんどでした。この病気で苦しむ方々の力になるため、今回の交流会を契機として、DECの供給に加えて、各地で疾患啓発や集団投薬のサポートなど、具体的な支援活動を展開する予定です。

レポーター

手塚恭子

知創部

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