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ガーゼと包帯 (2010.11.05 稲垣裕美) コレクションノート 近代の医療器具とくすり


ガーゼと包帯(救急用薬箱内)
大正時代
Z00128
 ガーゼは薄く、織り目の粗い織物の総称であり、必ずしも医療用に限ったものではない。古代エジプトでは、ミイラを亜麻布で覆っていた。紀元1世紀には、古代ローマの学者・ソラノスの著した『包帯学』の中で、既に包帯の巻き方を示す図が描かれているが、素材については詳しくわかっていない。それぞれの地域で生産された布を用いていたものと思われる。

 日本では799年(延暦18)に綿が伝わったが生産まで至らず、麻織物が主流だった。鎌倉時代に再度輸入され、15世紀末より本格的な生産が進められた。水で洗って日光にあてて白くした晒し木綿は、肌着・手ぬぐい・湯帷子(ゆかたびら)・経帷子(きょうかたびら)など用途が多かった。
 「繃帯(包帯)」という語が現れるのは明治時代であるが、しばらくは「木綿」「巻木綿(まきもめん)」などの語と並んで使用されていたようである。

 1887年(明治20)の『日本赤十字社篤志看護婦人会協定』の消毒法の項には、「繃帯諸品」とあり、「ほうたいしょひん」と「まきもめん いろいろのしな」と振り仮名が打たれている。1889年(明治22)に松本順(良順)口授・高松保郎筆記で愛生舘から刊行された『通俗民間治療法』にも、外傷治療の項に包帯という言葉はまだ使用されておらず、「木綿の布にて巻き置く」と記載されている。辞書類では、1891年(明治24)と1926年(大正15)の『言海』に「繃帯」は「巻木綿」とあり、その説明には「外科ニテ綿布ヲ傷処ニ巻キツクルに用イルニイフ語」とある。
 医療機器のカタログを見ていくと、1898年(明治31)『医療器械実価表』には「脱脂ガーゼ」、1909年(明治42)『医療及化学器械実価表』には「日本薬局方精製脱脂綿紗」「巻軸繃帯(五裂)」の名前が見える。
 1903年(明治36)刊行の『民間実用救治療法』には、“繃帯”の説明として、巻軸帯と繃帯巾の2種類があるとしている。巻軸帯は一反の晒し木綿を縦に4〜5本に裂いて軸に巻いたものであり、繃帯巾は四角巾ないし三角巾のことで、緊急時に用いるものとされている。

 1908年(明治41)の『国民百科辞典』「繃帯」の項には既に、「殺菌ガーゼ」「防腐ガーゼ」の名前も見えるが、繃帯は「炎症や創傷に施す」木綿や縦裂の木綿、および脱脂綿や湿布などの総称のように記載されている。1909年(明治42)の『日本百科大辞典』には、「ガーゼ」は木綿製のガーゼを漂白して脱色したものは「医家の常に用ふるものにして(中略)繃帯材料の用をなし、外科的処置に於て欠くべからざる要品なり」となっている。1932年(昭和7)の『大日本辞典言泉』には、「繃帯」の素材として脱脂木綿があげられ、「繃帯布」「繃帯木綿」に「があぜ」と同じとある。「があぜ」の項には「木綿製のものは、消毒の上、外科治療に使用す」と記載されている。

 ここから、現在のようなガーゼや包帯は、明治中期に病院・薬局に普及し、一般家庭へは大正〜昭和初期に広まっていったものと推測される。


巻軸繃帯(6裂1反)/西部衛生材料/Z15091

巻軸繃帯(4裂1反)/西部衛生材料/Z15093

巻軸繃帯(4裂1反)/全国局方ガーゼ/Z15090

ガーゼ・三角巾セット/陸軍衛生材料本廠/昭和20年以前/Z16857

昇汞ガーゼ(1反)/秋草商店/東京/Z15095

精製脱脂綿(100g)/西部局方脱脂綿/Z15089

包帯巻機/金属製/洗った包帯を巻きなおすのに使用した器具。/Z02320

耳包帯/耳を覆う布をヒモでしばって固定する。/Z17728

昇汞綿紗(50g)/陸軍衛生材料廠/大正13年(1924)/Z20782

ガーゼ(2米突)/純正舎/東京/昭和20年以前/Z15862

昇汞ガーゼ(55g)/陸軍衛生材料廠/昭和20年以前/Z15046

脱脂綿(20g)/陸軍獣医資材本廠/昭和20年以前/Z20741
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