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モノが語る思い出(2007.09.07)
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 今はもう見られなくなった古い道具などのモノを見て私たちは「懐かしさ」を感じます。道具に限らず、例えば流行していてよく聞いた音楽、印象深かった本、映画、テレビ番組を聴いたり見たりした時などもあります。実際に体験した時代のあらゆることが走馬灯のようによみがえり、まるでその時代にタイムスリップするような気持ちになる・・・そんな経験はだれしもあるのではないでしょうか。
 展示資料を見ながら「昔おばあちゃんの家にあった薬箱だね。」「こういった看板は昔よくみかけたね。」「よくもらって遊んだわ。くすり売りさんがもってきてくれた紙風船。」という来館者の声が聞こえます。あわせて家族の団欒の暖かさが感じられるのでしょう。不思議なものでこれらのものが人々に元気を与えてくれるのですよ。
 昭和時代がおわって17年になりますが、あちらこちらの博物館、資料館で、昭和時代の懐かしい展示会が開催されています。私も、少し前に昭和30年代の教室風景を再現し、中には木で作った机に教科書や文房具も置かれた展示があり見てきました。黒板には当時の子どもたちが教室で歌った曲の譜面が書かれていました。その教室に入れば、校庭で元気に走りまわった小学生に帰り、隣に座っていた友だちや、教室にひびく先生の声、教室で食べた給食、はやっていた遊び・・・いろいろな出来事に思いを馳せることができるのです。
 美術品でもなく、どこの家庭でもみられたようなごく普通のもの、そういった日常の再現展示が行われるのは何故でしょうか。
 思い出を語り、思い出に磨きをかけ輝きを取り戻すことには、自己を再評価し、自尊心を高める効果があるといわれます。そのため最近では、回想法といって懐かしいものにふれて、お年寄りの記憶を呼びおこすことを意図的に試みている所もあります。
 今の時代のモノはどんどん新しいものに替わっていきます。携帯でもカメラでもパソコンでもどんどん新しい機種がでて、古いものは部品もなくなるためか修理することも難しくなってきています。
 当時の人々のアイディアが詰まったもの、手間ひまかけた手作りのものといったものから、人々の暖かい気持ちが伝わり、モノのあふれる今では手に入らない大切なことを教えてくれるような気がします。

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