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ほんものの解体新書(2004.01.23)
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解体新書

 日本史の教科書のなかで、日本最初の西洋解剖書として学んだ『解体新書』が、くすり博物館の展示室にはあります。それをご覧になった見学者の方から、よくご質問いただきます。

 「これは、本物ですか?」と。もちろんその通り「本物です」と、私はお答えするわけですが、実は、博物館の図書室には7組もの『解体新書』を所蔵しています。序と図の1巻と、巻之1〜巻之4までの合計5冊、これら全巻が揃っているものが4組、欠巻のあるものが3組、すべて7組とも本物です。

 お話しすると驚かれる方も多くいらっしゃいますが、驚きの理由には二通りあるようです。まず、本物の『解体新書』が7組も存在していること。そしてもう一つは、貴重で有名な、あの『解体新書』を当博物館が7組も所蔵していること。ちょっとすごいでしょ?

 ドイツの解剖学者クルムスが著した『Anatomische Tabellen』の原書を、オランダの外科医ディクテンがオランダ語に翻訳した『Ontleedkundige Tafelen(通称:ターヘル・アナトミア)』が、日本に伝わりました。『解体新書』は、前野良沢や杉田玄白らによってオランダ語から漢訳されて、安永3年(1774)に出版された木版刷りの書物です。

 木版で印刷された和紙を、真ん中で二つ折りにして、端を揃えて糸で綴じる製本方法によって、和装本となります。これを版本または板本といいます。『解体新書』も典型的な版本でした。版本は、一回に数百部が版行されたといわれています。そして売れ行きの状態を見計らいながら、何度も刷り増しによって増刷されました。したがって、『解体新書』は、世の中に何組も本物が存在しています。本物はたった1組しかないというものではないのです。

 しかし、現代の私たちにとっての『解体新書』は、医学の歴史を語る上では貴重な書物です。本物と向かい合った時の感動は大きいことでしょう。江戸期の出版から230年を経て、現代のデジタル技術の進歩によって、パソコンの前に居ながら、本物の『解体新書』の全巻がご覧いただけるようになりました。

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