研究開発

当社のイノベーションの源泉

当社のイノベーションの源泉は、ヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念に基づき患者様や生活者の皆様とともに時間を過ごし、その真のニーズを理解することによって生まれる強い動機付けです。研究開発に関わる全ての社員は、日々の業務において判断に迷った時、常にhhc理念に立ち返り、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考えた際に、優先させるべき事柄は何かということを考えます。hhc理念は、私たちの研究開発活動の道標のような存在です。

Human Biology

このようなhhc理念を原動力とする当社の研究開発では、患者様や生活者の皆様といった一人ひとりの疾患に対する憂慮の解消を目的としており、このためには、ヒトゲノム情報やヒト疾患で起きている様々な生物学的な変化(Human Biology)を解き明かすことが重要です。創薬仮説を立案・検証する上では、Human Biologyを深く理解し、それに基づいた研究開発を遂行する必要があります。Human Biologyは、当社すべての研究開発の出発点となる非常に重要な概念です。

当社の強み(ケミストリー力とデータ)

当社の研究開発の強みは、ケミストリー力と、ユニークな保有データです。ケミストリー力とはつまり、優れた有機合成化学力に裏付けられた自社プロダクト創製力です。当社は、低分子はもちろん、複雑な天然物、中分子、ADC(抗体薬物複合体)などのさまざまなモダリティの候補化合物を見出すとともに、その複雑な化合物を効率的に合成し、商業生産に結び付けるケミストリー力を有しています。さらに、当社はこれまで実施してきた臨床試験に基づくユニークなデータを保有しています。特に、認知症分野やレンバチニブによる多がん種における臨床データなど、当社ならではの包括的なデータを保有しており、これらとHuman Biologyに基づく新たな創薬仮説を立案し、保有している高いケミストリー力と合わせて、研究開発における強みを発揮します。

Disease Continuum

多くの疾患では、症状が現れるずっと前から疾患を引き起こす数多くの変化が発生かつ蓄積しており、疾患の進行は連続体としてとして捉えることが可能です。この考え方をDisease Continuumといい、当社は、この前提に立って疾患を理解し、疾患の幅広いステージごとに、予防から治癒までのあらゆる選択肢を患者様に届けられるよう、研究開発を行っています。

4R(Right hypothesis, Right population, Right endpoint, Right dosing)

研究開発においては、4Rが適切に設定されていることが重要です。4Rとは、医薬品の研究開発を成功に導く上で必要不可欠な、Right hypothesis(正しい仮説立案)、Right population (正しい評価集団)、Right endpoint(正しい評価項目設定)、Right dosing(正しい用量設定)の4つのRightを表します。

  • 1.
    Right hypothesisは、薬のターゲット(標的)の設定に重要です。Human Biologyに基づいた正しい仮説立案が、すべての創薬活動の出発点となります。
  • 2.
    Right populationは、Right hypothesisに基づいて創出された医薬品候補を、臨床試験において評価する際に、創薬仮説に合致した、正しい試験集団を設定することです。
  • 3.
    Right endpointは、科学性や普遍性などの観点から、医薬品候補に適した正しい評価項目を設定することです。
  • 4.
    Right dosingは、医薬品候補の創薬仮説を立証するにあたって、最適な用量を設定することです。