マイセトーマ(菌腫)がWHO(世界保健機関)の「顧みられない熱帯病(NTDs)」リストに追加

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2016年10月24日掲載

マイセトーマ(菌腫)は南米やアフリカなどの熱帯や亜熱帯地域で蔓延する感染症です。中でもアフリカで多く蔓延する真菌性菌腫(eumycetoma)の症状は重く、感染すると手や足に巨大な腫瘍が現われ、進行すると歩行や労働が困難になります。現状、効果の高い医薬品は存在せず、重症の場合患者様はやがて患部の切断を余儀なくされます。多くの患者様が社会的偏見だけでなく、疾患による失業や高額な治療費の負担という経済的苦痛も強いられています。

真菌性菌腫の最大の蔓延国であるスーダンには、鋭いとげのある枝を持つアカシアの木が多く生息しています。アカシアの枝は枯れると地面に落ちるため、落ちた枝が感染源とされる動物の糞などに接触し、そのとげを人が裸足で踏むことで感染が拡大すると考えられています。そのためスーダンでは、貧困層の人々、特に、裸足で生活し、農作業や牧畜業に従事する農村部の若者が最も感染リスクが高いといわれています。

マイセトーマの患者様の写真
アカシアの木、地面に落ちたアカシアの枝

これまで真菌性菌腫を含むマイセトーマについては、疾患に関する正確なデータも集まっていませんでした。2016年5月、WHOはマイセトーマを「人類の中で制圧しなければならない熱帯病」として定義する「顧みられない熱帯病」(NTDs)のリストに新たに追加することを決議しました。これにより、今後、WHOと各国の保健当局によるマイセトーマ制圧に向けたより詳細な疫学調査や制圧戦略の検討が開始されるとともに、マイセトーマに対する新薬開発も進展することが期待されます。

エーザイは、国際非営利団体DNDi(顧みられない病気の新薬開発イニシャティブ)と真菌性菌腫の新薬開発について共同研究開発プロジェクトを推進しています。現在、当社創製のE1224(ホスラブコナゾール)を用いた研究がDNDiの主導により進行中で、今年度中にスーダンにて臨床試験が開始される予定です。

(詳細はhttps://www.eisai.co.jp/sustainability/atm/innovation/010.html

アフリカの若者や子ども達を始め、すべてのマイセトーマに苦しむ方々に希望をお届けするため、当社は今後も治療薬の開発に努めてまいります。

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