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鍼灸の一派・吉田流では、病気の原因と考えられていた体内の「虫」を鍼治療で退治する方法を秘伝としていた。挿絵には病気の「虫」が想像して描かれている。「ムシ」は実際に胃腸などに宿る寄生虫に、かつては原因不明だった精神疾患(狐憑、疳の虫など)や腹部の積聚(胃がんや子宮筋腫を含む)の類を合わせたものである。これは鎌倉〜室町時代の僧医たちが呪術的な鍼法に由来している。
<解題:伊藤恭子(当館学芸員)>