入江流は杉山流(杉山和一)の源流となった鍼の流派。豊臣秀吉の医管・園田道保と朝鮮出兵の際に捕虜となり日本に連行された明人の呉林立に学んだ入江頼明が創始し、子の良明、孫の豊明が継承した。良明の門人、山瀬琢一検校が杉山和一の師匠。別名『童人形図面』ともいうように、色彩あざやかな経絡図が15枚描かれている。図中の人物は和風の髪型で、中国のものとはひと味違う雰囲気が漂う。
ツボの記載には、流儀が漏れないように隠名(独自の名前)がつけられ、その隠名は僧医たちが仏教医学の名医である耆婆に儀託して編集した『耆婆五臓経』と共通している。この書は、中世から近世にかけて鍼灸がどのように発展したかを知る上で格好のものである。 <解題:長野仁> |