
薬など匙ですくい取る量だけでなく、微妙な調整技術に対しても「匙加減」と言います。もともとは匙ですくった薬量、患者を生かすも殺すも医者の「匙加減」一つで決まったことから派生して、扱う物事の状況に応じた加減や手心を表す意味としても広く使われるようになりました。
「匙を投げる」とは、医者が治る見込みのない患者と診断して匙を投げ出すことから治療を断念することですが、物事を見放すという意味でも使うようになりました。匙で薬を盛る医師の技術は「匙先」「匙執り」などの言葉としても残っています。
材質は金属、あるいは動物の牙や角や木製などから作られていて、日常的には丈夫で錆が生じ難い真鍮製、金、銀、銅(近年ではステンレスやプラスチック)を用いました。しかし、金属に触れて変化する薬物をすくい取るときには牛角や象牙製、木製でした。大小さまざまな大きさと形の種類があり、丸薬の粒数を数えるものに計粒匙というものもあります。
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