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内藤記念くすり博物館 近代化産業遺産認定コレクション

<その44>医療用具 職人のように針を研ぐ−医家用簡易注射針研磨器−

 フランスの医師・プラバーズが1853年に注射器を考案し、スコットランドの医師・ウッドが1855年に神経痛患者に皮下注射を行った。注射器は日本には幕末にオランダ軍医より伝わり、明治初期に軍で使用が開始された。

 展示の資料は医家用の簡易注射針研磨器である。戦前はモルヒネやカンフルなど救急目的の注射が行われた程度で、数本の注射針で間に合ったと考えられ、当時は注射針を研いで繰り返し使用していたようである。この器具は机に固定し、手動式の回転砥石(といし)に少量の石油をたらして針先を研いだ。医療器具カタログ等には掲載されておらず、注射時の刺しやすさや痛みの軽減を求める医師の声により製作されたものであろうか。

 1950年代以降使い捨て注射器が普及し、現在の日本では感染というリスクを冒してまで注射針の再利用をすることはなくなった。いまやこの器具は、自分の“商売道具”を大切に扱う職人気質を持った医師が過去に存在したという証として残されている。
簡易注射針研磨器
簡易注射針研磨器

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