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館長 森田 宏  内藤記念くすり博物館は、木曽川の清流に囲まれた小高い中州で、常緑の樹木の多く繁れる所にあります。エーザイの創業者・内藤豊次により1971年(昭和46年)に設立されました。
 当時の設立趣意書には内藤記念くすり博物館は「日本のみならず、世界のくすりに関する資料、および過去より現代にいたる資料を広く収集し、実物に合わせて展示し、今日の、薬学および薬業の姿は、現在までどのような経過をたどってきたか、将来はどうあるべきかを学会や業界、ひとしく一般の人々にも正しく理解してもらう」とあります。この精神を忘れず、本年度もこの趣旨に基づいた企画展に取り組んでおります。

2019年度企画展「薬局方のあゆみ」

 私たちの健康は、目に見えないルールブックにより守られています。そのルールブックとは、国が定めた医薬品の規格基準書である「薬局方やっきょくほう」です。「薬局方」には医薬品の性状や品質、剤形、品質評価、その試験法などが記載されているので、医薬品・化学物質の研究や製造を行う施設では必要不可欠なものです。「薬局方」そのものは、私たちが直接手に取って活用するものではありませんが、これに準じて医薬品が製造されていれば、その品質は公的に保証されているので、医薬品を安心して使うことができます。
 日本では平安時代に日本固有の処方をまとめた『大同だいどう類聚方るいじゅうほう』が編纂されましたが、優れた中国医学の導入により、普及しませんでした。
『(重刻太平恵民)和剤局方』
正保4年(1647)
中国・北宋代(10-12世紀)に設けられた官営の薬局で用いられた処方集。01026
 江戸時代は、薬の処方は中国医学の範疇はんちゅうを出ることはほとんどなく、原料の品質管理も、薬屋が長年の経験から品質を見極めたものであって、試験などを実施して客観的に品質を鑑定するものではありませんでした。
 徳川8代将軍吉宗の洋書解禁により、オランダから医学、薬学とともに薬局方も伝わりました。オランダの薬局方が『和蘭局方おらんだきょくほう』として翻訳されると、西洋医学を取り入れる医師の間でも薬局方の重要性が知られるようになりました。しかし、幕府など公的機関は、医薬品の品質や取り扱いに関するルールを制定するまでには至りませんでした。
 明治時代になると、海外から輸入された医薬品の中には低品質のものや偽薬、数量を偽ったものが多く見られましたが、わが国にはそれを規制する法律や基準書がありませんでした。そのため、西洋薬を新たに導入し、諸外国と取引を行うにあたって、従来のルールでは対応しきれない事態に陥りました。
 そこで国内のみならず、海外諸国との交易にも対応できるよう、『日本薬局方』が5年の歳月をかけて編纂され、明治19年(1886)に第1版が完成しました。『日本薬局方』は今日17版を数え、医薬品製造の基本となり、医薬品の品質管理の向上に寄与しています。
 本企画展では、古代から江戸時代にかけて日本人が薬の製造や流通に対してどのような関心を持ち、実際に運用してきたかのあらましを述べるとともに、『日本薬局方』初版から最新版に至るまで解説し、薬局方の歴史や内容を紹介しております。併せて、海外での偽薬撲滅にむけた活動も採り上げております。普段は意識しない薬局方に目を向ける機会となれば幸いであります。

2019年7月

内藤記念くすり博物館
館長 森田 宏


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