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内藤記念くすり博物館 近代化産業遺産認定コレクション

<その23>医療器具 家庭にもたらされた医療器具−吸入器−

 吸入療法は薬液を含むエアロゾル(霧状の微細な水滴)を気道内に吸入する治療法である。日本に最初に吸入器が輸入されたのは明治10年(1877)頃のことである。国産品は、明治29年(1896)の内国勧業博覧会に葛木九兵衛と松本儀兵衛が出展したものが初めとされる。

 吸入器の構造には2種類あり、火力で発生させた蒸気に薬液を混合させる方式と、霧吹きのような装置で薬液や粉薬を噴霧する方式があった。薬液は食塩水と重曹水を使用した。火力式のものは、アルコールランプを使用したが、後には電気式も製造された。

 大正14年に刊行された家庭医学書『家庭に於ける実際的看護の秘訣』(築田多吉[つくだたきち]著)がベストセラーになり、太平洋側では冬期に空気が乾燥しやすいこともあり、風邪の予防や症状緩和のための健康器具として吸入器が普及した。しかし当時の吸入器は手軽であった半面、特に非加熱式では水中で繁殖した雑菌をエアロゾルとともに吸入してしまう可能性があった。

 雑菌を含むエアロゾルを吸入した事例に、1976年にアメリカで起きた在郷軍人病が知られている。空調の冷却水中で増殖した菌が飛散して、肺炎の集団感染を引き起こしたのである。これ以降、エアロゾルの細菌汚染については衛生面から、より慎重な配慮がなされるようになった。吸入器も、医療用器具として医師の指導のもとに用いられるものへと認識が変わりつつある。

吸入器(エムワイ式) 昭和12年(1937)
吸入器(エムワイ式)
昭和12年(1937)
吸入器(大学・ゴム引、胸掛布、噴霧管)
吸入器(大学・ゴム引、胸掛布、噴霧管)
吸入器(フエバー/箱入り) フエバー体温計本舗
吸入器(フエバー/箱入り)
フエバー体温計本舗
吸入器(無風式大学/箱入り) 優光社
吸入器(無風式大学/箱入り)
優光社
吸入器(大川式安全) 大川商店 昭和20年以前
吸入器(大川式安全)
大川商店
昭和20年以前
吸入器(久能式電気/箱入り) 久能木本店
吸入器(久能式電気/箱入り)
久能木本店
吸入器(KT式) KT商会 昭和20年以前
吸入器(KT式)
KT商会
昭和20年以前
吸入器 Cevilbiss Co.
吸入器
Cevilbiss Co.
Vapo-Cresolene
Vapo-Cresolene

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