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内藤記念くすり博物館 近代化産業遺産認定コレクション

<その12>毒滅 −宰相の商標−

 毒滅(どくめつ)は、森下南陽堂(後の森下博薬房)より1900年(明治33)に発売された梅毒の薬である。

 梅毒は性行為感染症であり、大航海時代にアメリカ大陸からヨーロッパを経由して日本に伝来した。かつては特効薬がなく、軽粉(けいふん=水銀粉)や生薬の土茯苓(ドブクリョウ)やその代用品である山帰来(サンキライ)を用いた対症療法が行われたに過ぎなかった。毒滅の処方の主剤は土茯苓や山帰来の仲間の植物の根で、サルサ根と呼ばれたもののエキスである。

 毒滅の看板には「ひえしつ」と書かれているが、これは江戸時代の梅毒の別名「ひえ」と「しつ」のことである。商標にはドイツの鉄血宰相と呼ばれたビスマルクを採用し、「梅毒薬の大発見 ビ公は知略絶世の名相 毒滅は駆黴(くばい)唯一の神剤」と銘打って宣伝を行った。

 1910年にはドイツのエールリッヒが弟子の秦佐八郎と共に発見した薬品・サルバルサンが梅毒に効果があるとして販売されたが、副作用があったため後にはペニシリンが梅毒の特効薬とされた。
看板「毒滅」 昭和20年以前
看板「毒滅」
昭和20年以前

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