顕微鏡が生物学の分野で活用されるようになったのは17世紀のことである。当時は染色していない標本を顕微鏡で観察していた。最初に細菌を色素で染色して観察したのは1869年のホフマンで、カルミンとフクシンを用いた。このほかにもアニリン色素、メチレンブルーなどさまざまな色素により細菌が染色されるようになった。1884年にはグラム染色法が開発され、現在でもグラム染色の陰性・陽性で菌が区分される。
写真の細菌の培養標本は、ある診療所より提供された資料で、コレラ患者の便などさまざまな種類のプレパラートが含まれている。これは医師自身が顕微鏡をのぞき、細菌の有無を調べた時代の名残といえよう。
現在では採取した検体を検査機関へ回せば細菌の有無についての正確な結果が提供され、医師は診察に集中できるようになった。それでも、顕微鏡下の“敵”を探し出し、根絶しようとする意気込みは今も変わらずにあることだろう。 |
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細菌培養プレパラートと顕微鏡 昭和時代 |