第二次世界大戦のころ、経済封鎖による金属の不足は、銃弾の薬きょうをもリサイクルさせるほど日本軍をひっ迫させた※。写真の資料はそんな頃の医療器具である。
昭和14年(1939)、つまりは紀元2599年に陸軍に採用された九九式連続注射器は弁機構により、針を交換せずに連続注射することを目的とした注射器である。説明書いわく、「この注射器の特色は一般の液体薬を連続的にきわめて容易かつ迅速に行えるところである。」と記されている。
戦地に送り込む兵隊の予防接種のはずが、逆に肝炎ウイルスなどを蔓延させかねない、とんでもない医療器具だったのである。戦争には本来の健康への配慮などないのであった。
※ 演習で使用した薬きょうを回収していたそうである。さすがに戦闘中は無理だろう。
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連続注射器 |